世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年4月16日

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 その理由の第1に挙げるべき点は、今日の共産党統治下においては、外交部、ないし外交官の果たしうる役割は限定されているということです。そのことは、特に、予算を含め、力を増強しつつある軍との関係において明確に言えます。党中央軍事委員会において影響力を及ぼし得るシビリアンは総書記1人であり、外交部の力は軍に直接的影響力を及ぼすことは出来ません。

 第2に、習政権そのものが弱い政権基盤の上に成り立っているので、特に、尖閣、南シナ海など主権に関する問題においては柔軟な対応をとることが困難になっています。文革の時期以降をとって見れば、党中央指導部が今日ほど分裂気味であることはなかったと思われます。習近平にとっては、江沢民に属する派閥、胡錦濤に属する派閥のいずれに対しても細心の注意を払う必要があります。そのような状況下では、対外的に強硬論を吐くことが、内部の求心力を維持する原動力になります。「中華民族の復興」、「百年の屈辱」などを必要以上に強調しなければならない理由です。

 第3に、楊外相は、尖閣の領有権については、国連において「中国から日本が盗んだ」旨繰り返し、声高に述べた人物であり、国務委員になったからといって、そのような言い方を変えるとは思えません。

 王毅は日本のことを熟知した人物であり、確かに「戦略的互恵関係」なる表現を、第一次安倍内閣の時に作成することに関わった1人でありますが、今後、北京の意向と日本の立場をどの程度うまく調整することが出来るか、全く未知数です。

 現在の日中関係は、スタイルやテクニックだけで変え得るものではありません。3人の任命については、期待しつつも楽観視せずに対応することが求められます。

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