ブルキナファソ見聞録

2013年4月15日

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岡田綾 (おかだ・あや)

JICA職員

1982年兵庫県西宮市生まれ。小学校6年生のときに阪神・淡路大震災を経験。2005年京都大学文学部社会学科、2007年同大学大学院地球環境学舎環境マネジメント専攻修士課程修了。環境やコミュニティ防災について学ぶ。就職活動では、「その人自身のせいではないが、理不尽な境遇におかれてしまった人のために仕事をしたい」と考え、他の関心事項であった「途上国・国際協力」も満たす組織として、独立行政法人国際協力機構(JICA)を志望し、2007年入構。地球環境部、広報室などを経て、アフリカ勤務を希望し、2012年12月よりブルキナファソ事務所に赴任。

 昨年12月、念願叶って西アフリカの内陸国・ブルキナファソへ赴任するにことになり、仕事でお世話になった方や友人に挨拶をしたところ、「どこですか?」、「久々に地図帳を開きましたよ」といった返答がほとんどだった。

「おとなしい」国、穏やかな国民性

ブルキナファソとはどのような国なのか…

 ブルキナファソの知名度を押し下げているのは、内陸国であるという地理的条件、資源に乏しく目玉産業がないという経済条件、長期安定政権で大きな紛争などが起こっていないという社会状況(2011年に暴動が起きたが、日本で大きく取り上げられるほどには至っていない)など、あえて一言で括ってしまえば良くも悪くも「おとなしい」国という性格だと思う。ちなみに、「ブルキナファソ(Burkina Faso)」とは、現地語(モシ語とジュラ語)を組み合わせた名前で、「高潔な人々の国」という意味である。(参考:外務省HPのブルキナファソ情報)

 確かに派手さはない、というのが赴任してすぐの印象であった。空港に降り立った時に寄ってくる人の数、町の中でどこまでも付いてくる売り子の熱意、通りすがりに声をかけられる頻度など、どれを取っても控えめな印象。むしろ、微笑んだまま無言で片手を挙げて挨拶されたり、「ボンジュール」と小さめの声量で挨拶されることが多い。穏やかな国民性であることは赴任前から耳にしていたが、人との接し方も適度な距離を保っているように感じる。

「かわいいブレスレットね」

 赴任してすぐの頃、町の様子を知ろうと家から中心部まで炎天下を40分歩いたことがあった。疲れて入った町角のカフェで、物売りが次々とやってきた。しかし興味のなさそうな対応をしていると大して誰も強く主張することなく去っていく。この時点で、どこまでも付いてきて声をかけ続けるエネルギッシュな他のアフリカの国とは少し違う。そんな中、1人の物売りが正面の席に座って、リュックからブレスレットやネックレスを取り出し熱心な売り込みをかけてきた。思わず顔をあげて返事をしてしまい5分ほど商品の話を聞く。財布の紐が固いことはわかったようだったが、こちらが意外と話を聞いたために、そこから身の上話が30分以上滔々と語られ、真剣に聞き入ってしまった結果、ブレスレットを1つ購入した。

 はたから見れば、物売りに捕まってしまい逃れられない日本人。あまりに深刻そうに話していたからか、その一部始終を離れた場所から見ていたカフェの若い女子店員が、物売りが去った直後にさりげなく寄ってきて、「かわいいブレスレットね」と話しかけてきた。まったく気にかけられないか、声をかけるとしても「何話してたの?」「大丈夫だった?」などそんなストレートな台詞も十分考えられるところに、「かわいいブレスレットね」の一言。ふっと気持ちが軽くなり、思わず何を話していたか説明を始めてしまった。物売りとのこれまでのやり取りを間接的に心配しながらも、物売りを批判するでもなく、こちらの感情をむやみに聞き出そうとするでもなく、絶妙な台詞だったと思う。

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