ヒットメーカーの舞台裏

2013年5月13日

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池原照雄 (いけはら・てるお)

ジャーナリスト

1950年生まれ。専門紙や全国紙の経済記者として自動車、エネルギー、金融、官庁などを担当。00年からフリーになり幅広い執筆、講演活動を展開。著書に「トヨタVSホンダ」(日刊工業新聞社)、「図解雑学 自動車業界のしくみ」(ナツメ社)など。

 家庭用の空気清浄機としては高価だが、独自の機能をもつフィルターの性能や、洗練されたデザインが評価されている。中国の大気汚染問題などもあって、2012年12月の発売直後から、ヨドバシカメラなどの提携販売店では品薄が続く。13年の販売計画は年2万台としていたが、近く月間の生産量を5000台規模に引き上げる方針だ。

 開発したのは役員、社員合わせて7人の家電ベンチャー、エクレア(東京都千代田区)。社長の古賀宣行(55歳)はソニー出身、デザインや企画担当取締役の鈴木健(39歳)は東芝の出身だ。10年に退社し、中国で日系企業などとともにEMS(電子機器の受託生産会社)を設立していた古賀と、デザイン会社を立ち上げたばかりだった鈴木が11年に、共通の友人に引き合わされ、「世界一の家電を作ろう」と意気投合して事業を始めた。

エクレアの空気清浄機「カドー」。9畳用、23畳用、39畳用、55畳用がある

 その第1弾の「カドー」は、清浄能力によって9畳から55畳を目安とした4機種があり、価格は4万4800円~12万8000円。機能面の特徴は、3層のフィルターで細菌や花粉、におい物質などを吸着・除去する方式であり、日本の大手メーカーが採用しているマイナスイオンとフィルターを組み合わせた方式とは一線を画している。

 フィルターのひとつには、捉えた細菌などを自浄する「セルフクリーニング」機能を備えた。これにより、通常だとフィルターの交換目安は半年程度だが、仮に1日24時間稼働させても1年は機能が落ちない性能にしたという。

 この自浄機能をもつタイプは、「光ブルー活性炭フィルター」と名付けており、におい成分や有害物質などを吸着・分解する活性炭をベースにしている。古賀によると「活性炭が有害物質を処理する力は強いものの、すぐに“お腹”がいっぱいになりやすい難点がある」という。つまり、吸着した物質などで飽和状態になり、性能が落ちやすいというわけだ。そこで、活性炭が自らをクリーニングし、機能が持続するようにした。

 におい物質や細菌などの有機物質を分解する「光触媒」を活性炭にコーティングしたのである。光触媒は家屋の外壁などに塗布し、汚れを分解させるといった用途が広がっている。こうした通常タイプの光触媒は、紫外線を受けることで機能するため、基本的には屋外用となる。

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