経済の常識 VS 政策の非常識

2013年4月25日

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困るのは日本にプロがいないこと

 黒田日銀になる前の白川日銀の時代には、大胆な金融緩和をしたら金利が上がって地銀の経営が苦しくなると日銀高官が言っていた。私の知る限り、大手都銀、上位地方銀行は、期間の長い国債を持っていないし、株や海外資産を持っているので、国債の下落をこれらの資産の増価で相殺できる。しかし、下位の地銀には、資産の相当部分が長期の国債であるような銀行があるのだろう。

 実際に、ある日銀高官は、「今、銀行は国債を山ほど持っている。量的には圧倒的に大手行が持っているが、大手行の債券のデュレーション(債券を回収することのできるまでの期間)の長さは2年ちょっと。それに比べて地銀などは4年ぐらいと長くなる。…地銀などは、貸出の資金需要もない。ここ(国債)しかないというので、デュレーション伸ばしになってしまう。国債の価格が下がったとき、誰が損するかというと、メガバンクよりも、地域金融機関ということになる(原文を要約している)」(早川英男「わが国金融業の課題」『新国策』2012年11月号)と言っている。

 また、生命保険会社の中には、「資産の運用割合が、株式、債券、外貨建て資産、貸付、不動産など資産ごとに決められているので、株が上がれば、株を売って価格の高くなった債券を買わなければならない。だから、日銀が大胆な金融緩和をして金利が上がるのは困る」という人もいる。もちろん、現在、保険業法は改正されて、資産の運用割合は規制されていないが、生保の健全性の指標となるソルベンシーマージンの計算上国債が有利なので、どうしても国債を買ってしまうという。あるいは、会社ごとの自主規制でそうなっているからだという。しかし、自主規制なら自分で規制を変えれば良い。いずれ金利は上がるのだから、期間の短い債券を買って、しばらく我慢していれば良いだけだ。 

 少なからぬ金融関係者が、日銀が大胆な金融緩和をすると困るという。しかし、本当に困ったことであるのは、日銀が大胆な金融緩和をしたことではなくて、日本の金融機関がパリの小金持ちほどプロではないということだ。

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