2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年5月15日

 我々は、ルールに基づいた世界規模での貿易に貢献する、これらのイニシアティヴを支持する。オバマ政権は、多国間貿易システムにコミットし続けており、貿易促進、サーヴィス、情報技術についての、達成可能な市場開放交渉の追求を先導している。米国は、中東の新しい民主主義国家から、アフリカや西半球の急成長国にいたる、あらゆる地域において、より自由でより公正な取引と投資が実現されることを望む。

 オバマ大統領の国家安全保障戦略は、二つの重要なチャレンジの上に成り立っている。すなわち、国内の強さを取り戻し、世界における立場を回復することである。大統領の国際経済政策は、その両方を行う助けとなろう、と論じています。

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 ドニロンは、最近、たびたび重要な政策的発言をしています。ドニロンは、ホワイトハウスの会議が終わるごとに、オバマがドニロンの方を振り返って、「そうだよね。トム(トム・ドニロン)」と言うぐらいオバマの信任が厚いと言います。第一期オバマ政権での前任者ジョーンズは、前統参議長として、陸、海、空、海兵隊、四軍を指揮した経験のあるヘビーウエイトでしたが、その後任となって、オバマの再選後とみに発言力を増している感があります。

 論説は、日本のTPP加入を歓迎していますが、具体的な内容には触れず、日本という経済規模の大きい国の参加が如何に重要かを指摘して、欧州との間のT-TIPと相まって米国の世界経済戦略の重要な柱となると論じています。

 リバランスにも触れていますが、それは多面的なものであると定義し、経済面でのリバランスの要はTPPであると言っており、その背景として、リーマン・ショック以来の経済停滞が漸次回復し、イラク、アフガン派兵も終息しつつある状況を指摘しています。こうしたことを総合して考えると、ヒラリー・クリントンが主唱した、中国の脅威の増大に対するリバランスを換骨奪胎して、経済も含む多面的なリバランスを唱えているものと理解してよいでしょう。

 ともあれ、太平洋に向かってTPP、大西洋に向かってT-TIPという構想は、実際に米国中心の世界の復活につながるかどうかは別にして、米国の大戦略として、正しい方向であり、日本としても異議の無いところではあります。

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