世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年5月30日

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 4月26日付米Los Angeles Times紙で、米ワシントン中東政策研究所のDavid Schenkerアラブ政治部長は、「中国の中東での足跡:安定性、石油、イスラム主義についての懸念にかかわらず、中国は引き続き、米国に湾岸地域での安全保障を任せている」との見出しの論説を書いています。

 すなわち、この3月に李克強が首相になった時、北京は厳重な警備に包まれたが、警備員は自動小銃ではなく、焼身自殺に備えて消火器を持っていた。中国は、国内の安定性を懸念している。

 一方、中国は、湾岸の石油への必要性に鑑み、中東に今まで以上の関心を示している。

 最近、中国を訪問した際、アラブの春や中東での戦略的変化について、中国の専門家と話し合った。彼らは、中国のこの地域への関与に関して説明した。

 中国は、石油の約55%を湾岸から輸入し、米国の安全保障の傘から利益を得てきた。ある専門家は、この地域での米空母を「公共財」と呼んだ。中国は、最近の中東での米国プレゼンスの減少と新疆でのイスラム主義の台頭を心配している。

 中国のシンクタンクの人は、人民解放軍は、まだ中東では安全保障上の役割を果たし得ない、と考えている。海賊対策でアデン湾に海軍を派遣してから5年も経っていない。また、人民解放軍が兵力を出せるとしても、米国が許さないだろう、と言っていた。ただ、将来、中東でより大きな役割を果たさざるを得なくなることは認めていた。

 中国は、安全保障面で、すぐには貢献しないだろうが、スーダンやレバノンに平和維持部隊を派遣している他、いわゆる「真珠の首飾り」で海軍基地も張りめぐらしている。中国は、中東特使を任命し、アサド非難の安保理決議に3回拒否権を使い、イランの核については米国の制裁に同調している。また、中国は、中東において、エネルギー分野で投資や貿易を増やし、湾岸協力機構諸国と自由貿易協定を交渉している。中国国営企業はサウジ・アラビアに石油精製所を合弁で設立し、アルジェリアでは15億ドルでモスクを建築している。これは、中東のエネルギーへのアクセス確保のためである。

 イランについては、イランへの制裁で、米国と衝突するのは避けたいのである。

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