世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年5月31日

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 豪戦略政策研究所(ASPI)のシュリアーが、4月22日付Diplomat誌ウェブサイト掲載の論説で、エアシーバトル構想が中国の台頭に対する大戦略の中でどう位置づけられているか明確になっておらず、同盟国にも中国にもよく説明する必要がある、と述べています。

 すなわち、米国のアジアにおける同盟国・友好国は、増大する人民解放軍の接近阻止・領域拒否(A2/AD)能力に対応するための米国の計画がどうなっているのか、疑問に思い始めている。

 エアシーバトル(ASB)は、米国の戦闘ドクトリンのレベルにおける、あり得べき対応となっている。米国の当局者は名指しすることを控えているが、アジアでは、これが中国に対するものであることは、誰もが知っている。ASBには、地域の同盟国が重要な役割を果たすことが期待されているので、同盟国にとっても利害関係が高まっている。

 米国のシンクタンクには、日本と並んで豪州は中心的役割を果たすことになると言っているものもあるが、豪州での議論のほとんどが、ASBを受け入れるか拒否するか、というものであった。

 しかし、ABSの強さと弱さを確認するという、中間的な立場のほうが、より得るところが多い。

 まず、ASBは、米国が通常戦力による抑止態勢を強化して、人民解放軍の挑戦が高まっている海域において行動する意図も能力もあることを示すことによって、中国の増大するハードパワーに対してバランスする構想であるとして、歓迎すべきである。ASBはA2/AD環境下において、米国の空軍力と海軍力の新しい次元での統合作戦を可能にする軍事技術的コンセプトに過ぎないとする専門家もいるが、最も重要なのは、政治的メッセージである。

 中国の指導者は、西太平洋での現状を変更するための、大規模な軍事的行動への、米国の対応の可能性とその性質を計算しなければならなくなるであろう。

 ASBは、高強度の戦争に至った際に、米軍を強化する働きがあるので、米中間の戦略的抑止を高めることによって、地域の安定に重要な貢献をしてくれよう。

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