解体 ロシア外交

2013年6月3日

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 ロシアからの大規模な財政援助付きの圧力もあり、キルギスは2009年2月に、米軍に8月18日までの駐留期限終了を通告していたが、結局は、同年6月に、同基地の名称をマナス中継輸送センターとするものの、実質的な継続使用の協定に合意した。これはロシアに対する大きな裏切りであり、2010年4月の政変でバキエフ大統領(当時)が失脚した背景には、ロシアの反発を買ったことも大きかったと言われている。ともあれ、この政変後、キルギス新政権と米国は、同センターの使用契約を2011年7月13日まで1年間自動延長し、2010年12月、アタムバエフ首相(当時。現・大統領)が、議会演説においてマナス中継輸送センターの合意を今後4年間順守すると言及し、現在に至る。

墜落事故や様々な不祥事で
米軍の駐留存続に批判も

 だが、2014年のアフガニスタンからのNATO撤退決定を受け、キルギスの基地が米国にとっては益々重要になる一方、同基地の存続を危ぶむ声もある。5月3日に、米国の空中輸送機が、カザフスタンとの国境近くの居住地区に墜落した。この事故はキルギスで重く受け止められ、本事故により、自然や地元住民が深刻な被害を受けたことが証明された場合、米国の中継輸送センターの閉鎖を求める可能性があるとキルギスの緑の党の幹部が述べているという。

 そもそも、この墜落事故の前から、様々な不祥事が報じられていた米軍の駐留の存続に対しては大きな批判があった。同国内に文民空港が少ないことには大統領を含む多くの人々が危惧を示していた。なお、キルギスは契約を延長しない場合、6000万ドルを失うことになるため、国家として何らかの代替収益を模索する必要が出てくる。

 他方、ロシアのプーチン大統領は5月7日に、キルギス領内に統合ロシア軍基地を保持する条件を決めた協定を批准する法律を含め、包括的な関連文書に署名した。さらに、この地域におけるロシアの軍事的利益に関する追加措置が近く立案、承認されるとも見られている。加えて、キルギス北部のカント空港にあるロシア空軍基地の近代化工事の完了が間近だと見られているだけでなく、滑走路の全面修復や新型航空機と攻撃用ヘリコプターの補充もなされるという。さらに、ロシアはキルギスのフェルガナ盆地に陸軍基地を配備する計画についても交渉を開始する可能性があるようだ。

 また、CSTOに対しても、「CSTO集団即応軍の最新兵器による装備を加速する」という課題を突きつけている。このように、ロシアの中央アジアにおける防衛体制を強化する意思も強まっているのである。

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