WEDGE REPORT

2013年6月5日

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児玉 博 (こだま・ひろし)

ジャーナリスト

1959年大分県生まれ。早稲田大学卒業。フリーランスジャーナリストとして、大手総合誌、ビジネス誌で活躍。著書に『日本株式会社の顧問弁護士 村瀬二郎の「二つの祖国」(文春新書)、近著に『テヘランからきた男 西田厚聰と東芝壊滅』(小学館)など。

日本企業は頼られ、そして試されている

 サウジ政府にすれば、工業団地の海外企業の誘致をさらに増やすためにも環境改善に取り組むこと、またそうした姿勢を具体的に取っている事が対外的にも必要なのだろう。

 では事が一気呵成に成るかというとそうではない。時間感覚が異なり遅々として進まない。しかし、その間富士通は、環境モニタリングのための制御技術を富士電機、水処理をメタウォーターとコンソーシアムを組み、経済産業省から事業化調査のための補助金を獲得した。協力する各社は「機器売りではなく仕組みをパッケージで提供する契機」(富士電機の林伸治氏)、「サウジが将来輸出できるくらいまで育てることが大事」(メタウォーターの宮田次郎氏)との考えだ。

 経産省の強い後押しで富士通会長、間塚道義がサウジアラビアを訪問したのは昨年のラマダン(断食月)前の6月。サウジアラビア側の対応は日本では予想もしていなかったほど、丁重だった。

 昨年11月には大気汚染、水質汚濁などの深刻な公害問題を克服した経験を持つ神奈川県川崎市の担当者などを招き、サウジアラビアで環境シンポジウムも開催した。

 そして今年3月11日、富士通はMODONから3カ所の工業団地の環境管理システム構築・運用を受注した。総額7億円。その金額のせいか、日本のメディアで大々的に報じるところはなかった。今後、MODONの工業団地は40余りに増える。

 国の存亡をかけICTを取り込もうとしているサウジアラビアが中東の盟主であることに違いはなく、その動向に周辺諸国が左右されることを考えるならば、今回の試みが持つ意味合いは極めて深い。中東諸国が富士通の一挙手一投足を見ているといっても過言ではない。

 現在、坂口はTC戦略室、三澤真にシステムエンジニアの技術を叩き込まれ、念願かなってサウジプロジェクトの担当になった。

 新入社員が“とにかく何かがしたい”という思いから拾いあげた1粒の種子が砂漠の地で花を咲かそうとしている。

◆WEDGE2013年6月号より

 

 

 

 

 

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