2024年4月25日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年6月12日

 しかし、天然ガス自体は、これからも長年にわたって安価、かつ比較的クリーンなエネルギー源としての重要性を失うことはないでしょう。シェールガスを除いても、その可採埋蔵量は100年分を超えているようであり、新規大型ガス田の発見も相次いでいます。

 シェールガス、シェールオイルが尻すぼみになる場合、次のような影響があると考えられます。第一に、エネルギー価格の低下が収まると、米国内の製造業復活の動きに水が差される可能性があります。第二に、「米国が中近東を軽視するようになる」との議論が、説得力を失うことになります。第三に、エネルギー価格の低下が収まると、米国内で原発増設や代替エネルギーの開発が再び活発化するでしょう。第四に、ロシア経済が息を吹き返す。ロシアの天然ガスが価格競争力を増し、日本を含めた周囲に対する交渉力を高める。

 なお、これまで、環境破壊を理由にシェールガスの開発に消極的だったEUが、域内でのシェールガス採掘に関心を示し始めているようです。シェールガス革命の動向には、こうした要因も絡んできますので、結論めいたことを言うのは早計というべきでしょう。

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