オトナの教養 週末の一冊

2013年6月14日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

――あくまでイメージですが、環境に関心のある人からは「環境と金融を組み合わせるなんてけしからん」という意見がありそうですが。

著者の藤井良広先生

藤井氏:極論すると「すべて金じゃないか」と思われるかもしれません。環境はお金で計算できない部分も多々あるし、公害で人命が失われたことを考えると、金銭評価することは言語道断だと言われるかもしれません。実際そうなのかもしれません。

 しかし、人間や生態系などあらゆるものに被害が及ばないためには対策が必要です。対策のひとつとしては「環境を破壊するようなことは何もしない」という選択肢もあるかもしれません。ですが、そうは言っても人間は生活し経済活動をしながら収入を得て生きて行くわけですよね。誰しもより良い生活を望むのは自然なことです。特に途上国では環境問題よりも貧困問題のほうに関心が高い。人間の存在自体、必然的に、一種の自然破壊や開発行為を伴っているのです。

 そうしたことを踏まえると、いかに生活や経済を発展させながら、我々の社会が自然に対する負荷を抑えていくかを考える必要があります。環境に負荷の低い経済活動を選ぶためには、適正な規制とファイナンスの両方が必要なのです。

――本書にも書かれていますが、お金の面に関して、人類はすでに膨大な富を手に入れているわけですよね。

藤井氏:その通りです。世界の金融市場には、2010年末では約212兆ドルの資金が積み上がっています。ですから、この膨大なお金を環境に配慮したビジネスへ一定額、流す仕組みができれば、実は温暖化問題のコストは大したことはないのです。

 というのは、世界中で必要とされる温暖化対策費用は年間6000億ドルから1兆ドル前後と言われています。世界の金融市場には約212兆ドルがありますから、この資金を、温暖化を抑制する分野に誘導できれば十分に賄うことが可能です。

 そのためには温暖化対策を、利を生むビジネスにできればいいのです。投資家が温暖化関連のクレジットに投資をしたり、再生可能エネルギー事業に投資したりすることが可能になれば、環境も良くなり、ビジネス市場も広がります。そうした事業を支えるファイナンス面では、現在、民間事業者による気候変動債や世界銀行が発行しているグリーンボンド(温暖化債)などがあります。民間金融市場でも環境・温暖化ビジネスに必要な資金をファンドや債券で調達し、それを機関投資家が購入する動きが広がっています。こうした仕組みは、知恵を巡らせれば出来るはずです。

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