2024年4月20日(土)

パラアスリート~越えてきた壁の数だけ強くなれた

2013年6月18日

 実は行こうと決心するまでに「女はいらねーよ」とか「帰れよ」と言われたらどうしようかと、3カ月間も悩んだそうだ。

 「でも行ってみたら、みんなウエルカムなんですよ。やんなよって言われて『ラグ車』に乗せられて、いきなり、選手がバン!とぶつかってきました。痛くはなかった。でも、これがキッカケで虜になったとか、そんな理由じゃないんです。『珠ちゃんビビッて来なくなった』って陰口を叩かれたくなかっただけ」

 以来5年間も続いている。

 各務の『ラグ車』は、ローと呼ばれるディフェンス用の長い車いすを使用している。主に障害の度合いの重い人たちが使用するものだ。逆に障害の軽い人は、小回りが利いてスピードの出るハイと呼ばれる車いすを使用する。

 各務はこの競技の魅力について「スピードがあって、迫力があって、みんなぶつかることも、転ぶことも楽しんでいます」と、コンタクトスポーツとしての楽しさと「ローがハイを止めた時とか、ローが道を作ってハイをゴールさせたとき、またローが抜けてゴールしたときが楽しい」と戦略的な面白さも語っている。

 「えっ目標ですか!? (「う~ん」としばし考える) ジャパンなんてめっそうもない。思ってもいないです。ジャパンの選手を見ているので、目標だなんて簡単には言えません。私はチームの主力選手でもありませんので、今の目標は当たり前にチームで試合に出られる選手になることです」

 各務が所属するのは神奈川県横浜市を拠点に活動する「横浜義塾」である。この競技は迫力あるプレーの連続だが、各務はその中にあって唯一の女性プレーヤーとして光彩を放っている。

 昨年のウィルチェアーラグビー日本選手権大会「横浜義塾」の成績は7位だった。

なんとかなると思うからこそ、なんとかなる

 最後に「読者へのメッセージを」と言うと、何を言うか悩みながらもこう締めくくってくれた。


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