2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2013年6月20日

 経済産業省からタイ国家経済社会開発委員会に政策顧問として出向する松島大輔氏は「2つの『デトロイト』の邂逅であり、日本経済の生命線を握る開発プロジェクト」と述べる。

 ミャンマーは安全保障上も注目されている。同じくインド洋に面したヤンゴン北西400キロに位置するチャウピューでは中国が港の建設を進めている。しかもその近隣で採掘される天然ガス運搬用のパイプラインを中国・昆明につなげた。中国は陸続きでインド洋への出口を獲得することになる。「米国がミャンマーへの経済制裁を解除したのも、中国の影響力を低下させる狙いがある」と政府筋は見る。

 日本は昨年来、タイ、ミャンマー両国から何度もダウェー開発への参画を促されているが、政府や経団連の動きが一枚岩ではない。経団連はヤンゴン近郊のティラワ地区の開発に力が入り、ダウェーにまで手が回らない感がある。また、「政府系金融機関の国際協力銀行幹部がしゃしゃり出て米国の軍事関係者をダウェーに連れて行って米国の参加も促したことから、外務省や経産省などがへそを曲げた」(関係筋)という。今の政府や企業の動きからは、したたかな国家戦略は見えてこない。

 海外で利権を求めての各国間の熾烈な競争は水面下で激化している。政治と企業が国益を考え密接に連携し、相手国に息長く関わることが重要だ。

WEDGE7月号特集『検証 ミャンマーブーム』の一部を、ウェブで無料公開しました。
◎更地の「ティラワ」 vs ユニクロも進出検討「パティン」
◎中国と同化進む、パイプラインの街「ラショー」
◎「ダウェー」開発は東南アジアにおける日本の生命線

 

◆WEDGE2013年7月号より

 

 

 

 

 

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