「バリィさん」生みの親 宮田麻子さん
「デザイナーの原点は職業訓練校でした」


WEDGE編集部 伊藤 悟 (いとう・さとる)

WEDGE REPORT

ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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「ゆるキャラグランプリ2012」で頂点に輝いた今治のゆるキャラ「バリィさん」。元歯科衛生士のデザイナー宮田さんと「バリィさん」の一風変わったサクセスストーリーとは─。

 「今治ですか、元気ないんですよ」

 町を歩く今治市民に「景気どうですか?」と問いかけたところ、そう答えが返ってきた。

「バリィさん」の生みの親である宮田麻子さん

 町の玄関口である今治駅の駅前ロータリーには「ようこそ タオルと造船の町 今治へ」と書かれた看板が高々と掲げられている。タオルと造船は今治の主力産業だが、「昭和の産業」という印象が強い。日本のような人件費の高い成熟国より新興国が得意とする産業で、今治は中国や韓国などの躍進に脅威を感じ続けてきた。

 「今治タオル」は熱心な愛好者がいることで知られ、東京・南青山にも店舗を構える。しかし、贈答品が飛び交ったバブル全盛期の1991年には、市内379社を数えた業者も、今では119社へと減った。ブランディングに成功したとはいえ、厳しい立場に置かれていることは間違いない。造船業も、国内で造る船が激減するといわれる「2014年問題」を控えており、先の見通しは暗い。国内造船1位を誇る今治造船のお膝元であり、関連産業も多いこの地への影響は小さくない。

 そんな今治に吉報が訪れたのは昨年11月。「ゆるキャラグランプリ2012」で地元の「バリィさん」が優勝したのだ。バリィさんはタオル(腹巻)、造船(船の形の財布)のほか、焼き鳥(トリ)、しまなみ海道(橋を模した冠)といった地元名物で形作られている。

歯科衛生士から夢だった「絵描き」へ転身

 「私のデザイナーとしての出発点は、職業訓練校だったんです」

 バリィさんを世に送り出した地元出身のデザイナー・宮田麻子さんはそう話す。

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