2024年4月20日(土)

田部康喜のTV読本

2013年6月26日

 この家族の家を占拠した角田・元被告は、ともに占拠した男たちと大騒ぎをしていた。さらに、家族に対する暴行に対して、被害者があげた悲鳴も近隣に聞こえていた。

 近隣の住民による警察に対する相談は、多数にのぼった。警察は父親にも接触して事情を聴いている。警察の記録によると、それらの件数は36回に及んでいる。

 父親は証言する。

 「家族で虐待をしていたので、被害届を出すことはできなかった」と。

 姉はいったん、脱出に成功して、死の直前の2年半余り偽名を使って暮らしていた。自分の身分を証明するものが免許証しかないので、その更新のために運転免許試験場を、友人2人と訪れる。

 その運転試験場に、角田・元被告と妹、加害者グループがやってくる。姉は家出しており、免許証の更新にきたら、妹に連絡するように警察に届けていたのである。姉は連れ戻される。

 同行していた友人が警察に駆け込んだ。「このままでは殺される」と。

 しかしながら、家出のケースではよくあることだ、と取り合ってもらえなかった。

高村薫が番組制作に加わっていることの重み

 取材班は、大阪在住の作家・高村薫とともに、角田・元被告の人生の軌跡を追う。

 両親が離婚し、中学校を卒業すると10年間にわたって結婚生活をしている。離婚後、スナックを経営し、その2階は買売春に使われていた。反社会的勢力との関係も浮かび上がる。

 そして、今回の事件が明らかになる15年前、角田・元被告が40代のときにふたつの家族を崩壊させて、財産を奪い、不信な死者がでていたことを突き止める。

 この家族は、亡くなった叔母が嫁いだ先の親類であった。家族のなかに借金を背負った息子がいたことから、借金の肩代わりを申し出た角田・元被告は、そのことから家族に対して威圧的になる。

 ふたつの家族を、老人と夫グループ、妻グループに分断して、老人に夫たちに暴力を振るわせ、その妻たちにそれを監視させる。


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