オトナの教養 週末の一冊

2013年6月28日

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東嶋和子 (とうじま・わこ)

科学ジャーナリスト・筑波大学非常勤講師

元読売新聞科学部記者。フリーランスで環境・エネルギー、医療、生命科学、科学技術分野を中心に、科学と社会のかかわりを取材。主著に『名医が答える「55歳からの健康力」』(文藝春秋)、『人体再生に挑む』(講談社)など。新著に『水も過ぎれば毒になる 新・養生訓』(文春文庫)

 月刊誌に「新・養生訓」という医療や健康に関するコラムを連載する身で、いえる立場ではないが、テレビをつければ、新聞をめくれば、どこもかしこも健康法のオンパレード。日々、新しい健康法を耳にしない日はないほどである。

 書き手としては、読者の関心度、イコール自分の首がつながるか否か、なので、健康問題への関心が高いのは大いにありがたい。とはいえ、手放しで喜べない危うさも感じている。

『健康男 ~体にいいこと、全部試しました!』 (A.J. ジェイコブズ 著、本間 徳子 翻訳  日経BP社)

 「フードファディズム」という言葉で示されるように、食べものや栄養が健康や病気に与える影響を過大・過小に評価したり、信じたりする傾向が、昨今ますます強まり、メディアによって増幅されている。

 あやしい健康情報にふりまわされて極端に走り、かえって健康を害してしまう人も少なくない。

 医学領域における「根拠に基づく医療(EBM)」同様、栄養学の分野でも客観性や再現性を重視し、大規模かつ、二重盲検法のような厳正な試験や研究がおこなわれてこそ、信じてもよい情報といえるだろう。

 しかし、玉石混交どころか、砂漠に金剛石のような情報のなかから、私たちはどうやって信じるに足る情報を見つけ、どう行動したら、健康になれるのだろうか?

 そんな疑問に突き動かされて、「体にいいこと、全部試しました!」というのが、本書である。

「最も極端な」アドバイスを実際に試す

 著者のA.J.ジェイコブスは米国の男性誌「エスクァイア」の編集者。ニューヨークタイムズやワシントンポストなどにも記事を書いているという。

 完璧を追求することを人生の目的とする著者は、これまで「頭」と「心」のアップグレードに取り組んできた。『ブリタニカ百科事典』を読破して、あらゆることを覚える。1年間、聖書の通りに生きて、聖書のルールをすべて守る。これらの取り組みはそれぞれ、『驚異の百科事典男』『聖書男』という本になっている。

 続いて「3本柱の3本目」として選んだのが、「自分の体を作り直すこと」だった。

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