ベテラン経済記者の眼

2013年6月30日

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 アメリカの金融政策であるFRB(米連邦準備制度理事会)の米連邦公開市場会議(FOMC)が6月19日に開かれ、バーナンキ議長が当面の金融政策の道筋を示した。今回のFOMCは世界中の市場関係者がかたずをのんで見守っていた。米国の量的緩和政策の行方がどうなるか、また会議後の記者会見でバーナンキ議長がどんな言い方をするかでマーケットが大きく動くからだ。

5月に「失敗」していたバーナンキ

 今でこそ日米欧の各中央銀行の総裁は金融政策の決定を行う会合後に記者会見を行うが、FRBが記者会見を始めたのは実はごく最近で2011年の春だ。それまでFRB議長の対外発信は外部での講演か、議会での証言が中心だった。日本銀行や欧州中央銀行(ECB)は以前から総裁が正式な記者会見をしており、ECBはインターネットで生中継もする。筆者も金融担当のときに注目していたが、ECBのトリシェ前総裁のときには、金利変更にあたって「ビジランス」(警戒)という言葉をどう使うかが焦点だった。ストロング・ビジランス(強い警戒)といえば来月は金利変更(当時は利上げ)をするだろうと連想できた。

 こうした対応を繰り返しながら世界のマーケット関係者は「傾向と対策」を考えるのが通例だった。FRBも議長会見がテレビ中継されるため、世界の市場関係者はその発言の一字一句を精査することになる。

 全世界から尋常でない注目を浴びるバーナンキ議長だが、実は5月に「失敗」している。5月の米議会証言で金融緩和を縮小する時期についてややあいまいな答え方をしたため、その解釈を巡って様々な観測が生まれ、その後、1カ月間にわたって市場は不安定な動きを見せた。今回の発言で、景気の状況を見ながら年内にも量的緩和の縮小に踏み切る可能性に言及するとともに、量的緩和終了後も事実上のゼロ金利をかなりの期間継続する考えを示した。量的緩和終了に向けた道筋を示したことで市場は一定のスケジュール感を得たと思われる。

 バーナンキ議長の意図したところは6月21日付の毎日新聞が「市場との対話 腐心」との見出しで1面で解説したほか、同じ日の朝日新聞も「政策の透明化の総仕上げ」と解説した。

 社説でもバーナンキ議長の狙いについて「いよいよ出口戦略に動き出すことは、非常時に対応した政策の転換を意味する」(6月21日、読売新聞)などと評価する向きも多かった。

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