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2013年7月4日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

 「確かに騒音苦情や酔った客同士のケンカ、または痴漢など、夜にお酒を飲んだ不特定多数の人が楽しみに集まる以上、トラブルが起きやすい状況ではあります。しかし、それはクラブだけに限らず、たとえばカラオケボックスのほうが密室性も高く24時間営業しています。お酒を出す飲食店でも同じような状況でしょうから、クラブだけを規制する合理性はないように思います」。(齋藤弁護士)

 ただ、薬物などの使用を発見しても、クラブ側がなかなか警察に通報できないジレンマもあると言う。「きちんと音楽を楽しめる場所をつくりたいとアーティストやDJ、店の経営者も考えていて、そのために警察と協力していきたい。ただ、クラブは違法営業をしているので、仮に店内で薬物を使用している人を見つけても通報できないのです。もし通報すれば、クラブ側も違法営業で現行犯逮捕されてしまう。そこにねじれがあり、風営法が逆に治安悪化の原因のひとつになってしまっている状況があります」(同)。

文化的なバロメーターとしてのクラブ

 読者の中には、風営法に違反しているのだから取り締まりの対象になるのは当たり前だろうと思う方もいるかもしれない。しかし、実際に各都道府県の公安委員会に営業許可を取ろうとしても難しいのが現状だとも言う。「仮に営業許可を取ったとしても、これまで朝5時までの営業で上げていた売上を、深夜1時までの営業で確保するのは厳しい。そうすると音楽以外の、例えば異性との出会いなどに重点を置いて集客し、売上を上げなければならず、音楽に力を入れることができなくなる。売上を上げやすい別の業態に移行する現象がすでに起きています」とも齋藤弁護士は言う。大げさではなく、音楽という文化の発展が後退してしまうという懸念を感じずにはいられない。

 クラブカルチャーの中で日本製の音響機器が果たして来た役割は大きい。テクニクスのターンテーブルやパイオニアのCDJ、またローランドのシンセサイザーなどのクラブで使われている音響機器は日本製が多く、一般的にはあまり注目されていないかもしれないが、クオリティが高く世界中で愛用されている。

 風営法の問題点について「法律上は違法営業なのですが、実際の運用レベルでは許されている。ただ、クラブ経営者もDJもアーティストクラブミュージックに誇りを持っているにもかかわらず、いつ摘発されるかわからないという恐怖心や後ろめたさの中で彼らが活動していることが問題だと思います」(同)。また海外では、文化的なバロメーターとして、クラブを見ればその都市がどれだけクリエイティブかがわかるとも言われているそうだ。

映画『SAVE THE CLUB NOON』制作のきっかけ

 摘発されたクラブのひとつに大阪の老舗クラブ「NOON」がある。同店は昨年4月4日「無許可で店内にダンススペースを設け、客にダンスをさせた」という理由で経営者を始めスタッフ8名が逮捕された。その後、「NOON」を救済すべく全国から約100組のDJ、ミュージシャンが集まり「SAVE THE NOON」というイベントが開催された。

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