2024年4月20日(土)

world rice

2013年7月29日

 直播栽培では1ヘクタールあたり40キロ程度の種子を消毒して水田まで運ぶ程度の作業で済みます。例えば、日本ならではの無線操縦ヘリを使ったコメつくりが、有望な技術になります。

 「コメの輸出」を将来の目標として掲げることは間違いではありませんが、世界の市場がそんなに甘いものではないことも認識しておく必要があります。

 高くても品質が良ければ売れるというのも幻想で、どうしても価格がモノを言うのです。海外の生産から流通・消費まで、実態を把握している人が、日本には少ないように感じます。海外のコメ事情に強いはずのコメ輸入をしている商社では、コメ担当者が定期的に代わり、各地のコメ業界の専門用語も知らず、海外の生産者や輸出業者とまともな会話も成立しないと聞きます。

 日本のコメ生産者の成功パターンで多いのは、地域のまとめ役的な立場で、補助金政策や所得補償の下支えを受けながら、経営の拡大を図るというものです。国際的な競争の中で産業をけん引する立場になることとは基本的に異なった能力を持った方々だと思います。農協やコメ卸業者など流通にかかわっている人々も、将来のコメ生産も含めたコメ産業全体を考えて事業を行っているとは思えません。

 弱い日本のコメ産業を強くしていく唯一の方法は、生産コストのカットという具体的な一歩を踏み出すことです。

◆WEDGE2013年7月号より

 

 

 

 

 

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