ルポ・少年院の子どもたち

2013年7月11日

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 100名を超す少年たちが各寮に分かれ土俵を囲んでいる。少年たちの年齢が15~20歳までと幅が広いためか、体格はまちまちだ。回し姿に照れる様子もなく、それどころか、むしろ締まった表情は誇らしくさえ見える。

 茨城県の初等・中等少年院「茨城農芸学院」で毎年行われている相撲大会は、今年で53回目を迎える伝統行事で、大会当日は保護司会、更生保護女性会、教誨師、篤志面接委員など、茨城農芸学院の教育行事をサポートしている人々100名が来賓として列席していた。

 相撲大会がここまで続いているには意味がある。

相撲大会を支える宮城野部屋の思い

屋外の本格的な相撲場。大会が53年続いてきた理由は……

 2013年6月6日「茨城農芸学院」で毎年恒例の相撲大会が行われた。全国でも稀なケースだが、ここは屋外に屋形のある本格的な相撲場を持っている。その屋形も2011年の東日本大震災で一部損壊し、今年の3月に建替えられたばかりだ。そして長年この相撲大会を支え続けてきたのが、横綱白鵬を擁する「宮城野部屋」である。大会が始まってから53年間、4代の親方に引き継がれてきた。ちなみに少年たちが締めている回しも宮城野部屋から贈られたものである。

 現在の宮城野親方は、15歳で入門して以来、55歳の現在まで立場は変わりながらも40回ほどこの相撲大会の指導をしてきたそうだ。

 「相撲は礼に始まり礼に終わる。それを心の中にしっかりと仕舞い込んで、ぶつかっていく。たとえ負けても恥じることはない。ぶつかっていって、負けて、悔しいという思いも持って、またぶつかっていく。必ず出来ると信じて、途中で諦めない。それがいつか勝ちに繋がっていくと思います。それは人生もいっしょです」

 「私がいま相撲界で生きていけるのは、自分を信じて、夢を追い続けてきたからなんです。夢を持ち続けることによって今の人生があるんです」

 「君たちはいろいろな背景があってここにいるはずです。でも、それを良い教訓として活かすんです。すばらしい自分を育てるために夢や希望を持って、追い続けていってください。ここで学んだことは一生を通じて活かせるはずです。私たちも相撲を通じて良い子が生まれるように願って支え続けていきたい」

 親方は相撲大会を支え続けている思いを少年たちに伝えた。

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