2024年4月19日(金)

ルポ・少年院の子どもたち

2013年7月11日

 表彰式を終えた宮城野親方に話を聞いた。

開会式で少年たちに語りかける宮城野親方

 「相撲部屋に入ってくる子たちは、ここにいる子たちと似ているんだよ。この子だって(と18歳の弟子を指したところ、弟子も頷いて笑った)。子どものころは少々暴れん坊くらいじゃないきゃ大きくはならないよ。でも、人に迷惑をかけちゃいけない。子どものせいばかりとは言えないけど、ここに入って来るには理由がある。ここで学んだことを社会で活かして一生懸命やり直せばいい。努力次第でまっすぐに生きていくことはできる。そのチャンスは、大人たちが作ってあげないといけないかもしれないけどね」

 ただ、どうしようもないこともあったと振り返る。

 「以前にここを出で何人かが相撲をやりたいと言ってきたことがあった。でも刺青があったから、相撲をやらせることができなかった。入れる時は何も考えずに軽い気持ちなんだろうが、相撲に限らず気づいてやり直したいと思っても、妨げになることがある。あとになって後悔することの方が多いと思うんだけど、若いうちはそれがわからないんだよ」と悔しさを滲ませた。

基礎体力を養い、礼節を学ぶ

 この相撲大会がなぜ53年間も続いているのか。

 その理由を矢田豊次長に聞いた。

 「様々なプログラムを用意して、1年をかけて少年たちの成長に繋げていこうと考えています。この相撲大会はその一つで、目的は少年たちの基礎体力を養うことと相撲を通して礼節を学ぶためです。彼らは相撲自体に馴染みがありません。もちろん裸になって回しを締めるなんて初めてのことです。人前で相撲を取ることもプレッシャーになるでしょう。日本の伝統も彼らにとっては異質で新しいことなので、それにチャレンジすることにも意味があると思っています」

 まずは基礎体力を養うことについて。

 「非行をしている子たちは不摂生をしていますよね。生活リズムが崩れている、夜遊びまわっている、家出をしてどこかに入り浸っているなどが原因で体力がなくなっています。また、食生活が荒れていますので必要な栄養素が摂れていないことが多いんです。薬物に手を出しているとさらに悪い影響があります」


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