2024年4月26日(金)

ルポ・少年院の子どもたち

2013年7月11日

真剣に取り組み、成長する
少年院を出た後の課題は…

 2カ月前から「特別な行事だから」と教官は少年たちのモチベーションをあげていくそうだ。その教官の真剣さが彼らにも伝わり、「真剣に取り組まないと怪我をする」という練習中の集中力に繋がっていくという。

 「真剣だからこそ、短期間に変われるし、変われたことが自信になります。また、閉ざされた少年院という施設では、たくさんのサポーターがいることを実感させることも大切です。この相撲大会も大事な社会との接点ということです。こういったことを総合的に考えますと当院の相撲大会は少年たちにとって有益な教育行事だということになります。これからも特別なものとして、当院の歴史として、大事に育て継承していきたいと思っています」

 1年間という収容期間が長いのか短いのかは一概には言えないが、法務教官たちは一様に「1年あれば見違えるように成長する」と言う。入った当初の学力は小学校3~4年生程度という少年が多数を占める。また、ほとんどがコミュニケーション能力に問題を抱えているため、自分の気持ちを伝えられない。伝える言葉も知らない。また人の話を聞くことができないそうだ。少年院での教育は基本的にはそこからのスタートである。

 少年それぞれに個別の教育計画が立てられ「1年あれば見違えるように成長する」ことを教官たちは実感している。ただし成長したことと、少年院を出た後に社会人としてそのまま通用するかは別の問題であるように思えてならない。個々の成長を活かせるような少年院と社会を繋ぐ別の接点が必要なんじゃないかと思う。少年たちを社会に復帰させるまでの課題は多いはずだ。

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