2024年4月24日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年7月19日

 最後にトルコであるが、エルドアン首相がイスラム権威主義を選択するならば、オバマ大統領は、エルドアン首相への支持をやめるべきである。

 米国がシリアの反政府軍に武器を供与するのは、穏健な勢力を支持し、宗派的暴力に反対するためであり、それは、地域の諸政府が多様な価値と法の支配を尊重することを奨励することになる、と述べています。

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 シリア情勢は混迷を深め、米露が提唱した国際会議の開催の目途も立っていません。

 オバマ政権は、アサド大統領が化学兵器サリンを使ったということで、シリアの反政府軍に武器を供与することを決めましたが、このオバマ政権の方針変更は、戦場で劣勢にあるシリアの反政府軍にとって朗報でした。

 それに関連し、イグネイシャスは、米国の中東政策は穏健勢力を支持すべきであるという提言をしています。適切な提言でしょう。

 しかし、そういう穏健勢力が、中東で、意味ある政治勢力として存在しているでしょうか。国によって事情は異なりますが、そう簡単に存在するとは言えません。

 イドリス将軍の考えは良くても、戦場で負けてしまえば意味がないとイグネイシャスは言っていますが、穏健勢力についても、政治の場で負けてしまえばその考えは意味を持たないことになります。そして、そういうことが中東ではよく起こってきたところに、中東政策の難しさがあります。

 米国の中東政策は、石油問題、中東和平問題、イスラム過激派問題、地域の安定化問題など、諸事情に振り回されてきた感があります。穏健派支持を政策の柱に据えて、その時々の問題に対処して行くことは、試みる価値のあることでしょう。

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