2024年4月19日(金)

今月の旅指南

2013年7月26日

 古来、霊峰として崇められてきた富士山。天高くそびえる独立峰の壮麗な姿は、信仰の対象であるとともに、芸術家が描く題材にもなってきた。ユネスコの世界文化遺産登録を機に、中世から現代に至る“描かれた富士”が勢ぞろいする。

 会場には、日本のシンボル、富士山の存在を世界に広めた作品の1つ、葛飾北斎の「冨嶽三十六景」シリーズをはじめ、『伊勢物語』の一節を描いた尾形光琳の「業平東下(なりひらあずまくだ)り図」、洋画の技法を取り入れた風景画の先駆者、司馬江漢(しばこうかん)の「駿河湾富士遠望図」など、さまざまに描かれた富士山が並ぶ。

 横山大観が多数手がけた富士図の中でも、琳派の影響を受けた作風で知られる「群青富士」も印象深い作品だ。また、濤川惣助(なみかわそうすけ)による無線七宝の技術を使った工芸作品で、明治26(1893)年のシカゴ万博に出展されて話題を集めた「七宝富嶽図額」(重文)も必見だろう。

横山大観「群青富士」(右隻) 大正6~7(1917~18)年 静岡県立美術館所蔵 *前期のみ展示

 時代は移り変わっても、芸術家に創作のインスピレーションを与え続けてきた“日本一の山”富士山の魅力とは何か。思いを巡らせてみたい。

富士山世界文化遺産登録記念企画 描かれた富士
<開催日>前期7月26日~8月7日、後期8月9日~8月20日
<会場>静岡県熱海市・MOA美術館(東海道新幹線熱海駅からバス)
<問>MOA美術館 ☎0557(84)2511
http://www.moaart.or.jp/

◆「ひととき」2013年8月号より

 

 

 

 
 

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