2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年7月22日

 正常な日中関係が今日のアジアの奇跡の基礎である、との強い認識が存在している。しかし、日中の政治指導者は、米国や近隣諸国ほど、そうは考えておらず、国内の愛国主義的感情に訴え、譲歩する兆しを見せず、何としてでも尖閣をめぐる動きで優位に立とうとしている、と述べています。

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 確かに、キャンベルが指摘するように、尖閣をめぐる情勢が危機をはらんでいること自体は、その通りでしょう。

 しかし、キャンベルは、尖閣をめぐる動きに関して、危機が起きた時は、米国は日米安保を基礎に対処すると言っていますが、その他の点では基本的に日中を全く同等に扱っています。それは、日本にとって容認し難いことですが、知日派とされるキャンベルにして、こういう認識を持っている、ということを知っておく必要はあるでしょう。これは、一つには、中国が自己の主張をあらゆる機会に国際的に訴えていることの効果とも考えられます。

 わが国は、官民を挙げ、尖閣は歴史的にも法的にも日本の領土であり、中国の要求は不条理である、ということを、キャンベルのような有識者をはじめ、もっと国際的にPRすべきでしょう。また、こういう「どっちもどっち」という議論が出て来ないよう、日本政府は、尖閣をめぐる言動に際しては、細心の注意を払い、日本はナショナリズムではなく、あくまでも国際法に則って対応していることを、国際社会によく理解させることが肝要です。

[特集] 尖閣諸島問題


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