世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年7月25日

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 介入の目的は、アサド大統領を退陣させ、シリアを民主的国家として再統一することであるなどと綺麗ごとを言っている論文ですが、現状では、ロシアとイランが支持する反西欧的な政権が生き延びています。介入の目的は、レバノン国内で強力な反イスラエルのヒズボラ勢力の更なる拡大を防ぐことであり、シリア国内では、反政府勢力の中で過激派が主流となることを防ぐことにあります。

 もともと、シリアは、外交的姿勢としては反米、反イスラエルではありましたが、裏では米国、イスラエルの情報機関とも意思疎通していた現実主義的な国家として、米国、イスラエルも信頼していた中東の一つの安定勢力でした。それで、当初は、米国の現実主義的な戦略家は、介入など考えていませんでした。当時のヒラリー・クリントン米国務長官は、介入の可否を訊かれて、「介入して、それから、どうするの?」と問い返したといわれます。

 しかし、その後、シリアが自国民を虐殺したことによって、西側世界とは友好関係を持てないようになり、このままでは、親露、親イランの政権が生まれて来ることは避け難い状況となってきました。

 論文が提案しているような軍事援助は、反乱側の支配地域の保全には役に立つと思われますが、統一された民主政権を樹立する筋道を示してはいません。とりあえずは、アサド政権によるシリア全土の制圧を許さず、内戦の継続を支援する政策を提示していると言うことです。

 つまり、先の見えない介入ではありますが、米国の事情から言えば、その程度の介入は、やらざるを得ないでしょう。

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