2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年7月29日

 米外交問題評議会のジョシュア・カーランツィック(Joshua Kurlantzick)研究員が、6月28日付Bloomberg Businessweekで、中国経済は多くの問題を抱えており、崩壊するのではないかとの見方が絶えないが、新中国指導層は問題を認識し、対策を打ち出しつつあり、中国経済が崩壊することはない、と言っています。

 すなわち、中国経済は以前より減速してはいるが、成長率が2~3%もしくはそれ以下となり崩壊する可能性はほとんどない。

 国営及び民間企業が州立銀行から安易な低利融資を受けているとはいえ、これらの企業が非生産的であることにはならない。真に非生産的な国営企業は朱鎔基元首相によって閉鎖されている。中国企業―その殆どは国営だが―の73社がフォーチュン誌の2012年の世界の売上高トップ500社に入っている。World Economic Forumの世界経済競争力指数で中国の順位は上昇し続けている。華為技術(Huawei、ファーウェイ)などいくつかの中国企業は電気通信などの世界市場で支配的な地位を占めている。

 中国の通貨、元は管理されており、仮に元が交換性を持ったとしても、中国は巨額の外貨準備を保有しているので、1997年のバーツ危機のときのように投機の対象とはならない。

 習近平主席と李克強首相は中国の銀行が融資しすぎていることを公に認めており、中国経済の、債務を増大させる安易な融資への依存を弱めることを宣言し、消費刺激策を取ると言っている。

 中国経済が、よりバランスをとり、銀行部門は整理され、中央銀行は独立性を確保し、信用制度の透明性を高めるなど、多くの改革を必要としていることは誰も否定しないが、中国経済は多くの弱点を抱えながらも崩壊することはない、と述べています。

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 確かに、中国経済が崩壊することはないという結論は、その通りでしょう。しかし、中国経済が多くの深刻な問題を抱え、崩壊に至らないまでも、混乱し低迷する危険はあります。


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