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2013年8月12日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、東京証券部、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長などを務める。11年からフリーに。熊本学園大学招聘教授。近著に『国際会計基準戦争 完結編』(日経BP社)。

GPIFは、120兆円の資産を有する世界最大の投資ファンド。しかし、インフレ期待が高まる中でも、デフレマインドから脱却できない。インフレになれば連動して年金受給額も増えるので、おカネが不足することになる。巨大ファンドが運用姿勢を見直すことが、日本経済の再興には不可欠だ。

 デフレから緩やかなインフレへ。安倍晋三首相が主導する経済政策「アベノミクス」が、大きく世の中のムードを変えつつある。過去20年近くにわたって日本社会にはデフレが浸透し、人々の意識もいつの間にかデフレが前提になっていた。物価が上がるという現象を実体験として持たない世代が、社会の中堅層にまで達しつつある。

 50歳以上の人なら、子供の頃、小遣いをもらうと郵便局や銀行に貯金した経験を持つに違いない。利息が付いて貯金額が増えるのを楽しみにしていたものだ。一方で、欲しいモノの値段も上がった。どんどん貯金して、利息が付かなければモノは買えない。そんな日常があった。

 ところが、最近の子供たちは小遣いをもらっても、平気で勉強机の引き出しに入れておく。利息などたかが知れているから、銀行に行くだけ面倒だ。焦ってモノを買わなくても、明日は値段が下がる。逆に言えば、放っておけばおカネの価値は上がるのだ。

 そのデフレマインドが最も浸透しているのが、資産運用の世界。それも長期間積立金を預かる年金運用の世界だろう。何せ、デフレならば、どんなに金利が低くても国債で運用するのがベスト。現金で持っていたとしても目減りすることはない。株式や不動産、外国資産などで運用すれば、ことごとく損をする。おカネの価値が高まれば、モノの値段は下がるからだ。もちろん為替も強くなるから、外貨建ての資産はどんどん目減りする。これがデフレの世界だ。

 一見、資産を持っている人には、楽な世界だが、働いて日々おカネを得ようという人には大変だ。デフレが続けばいずれ給料も下がる。会社が儲からないので雇用も増えない。このままデフレが続いたら経済全体がぶっ壊れてしまうというのがアベノミクスを支える人たちの危機感だ。

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