2024年4月24日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年8月6日

 それでも充分ではない。自民党の選挙の勝利は、逆説的ではあるが、党内運営を難しくする。何百人の国会議員をまとめるのに、かつては派閥というものがあったが、今ではそれも機能しない。

 内閣改造や党内人事の異動を行なっても、皆を満足させるのは困難である。その内、世論の支持率が下がって来ると、改憲や原発等への反対勢力の声も大きくなり得る。それだけではない。その先、TPP、社会保障制度改革、消費税増税等、難題が次々にやって来る。今後数カ月、如何に党内をまとめるかが、安倍総理の最重要課題となる。

 安倍総理の長期的生き残りには、歴史認識や領土問題という外交問題よりも、内政の重要課題が鍵を握る。選挙に勝つことは易しい。今後3年間、国家を運営するのは、そう易しくはない、と論じています。

  * * *

  ホーナンは、現在最も頭角を表している若手の日本研究者です。かつて歴史問題を論じた時は、中韓が日本に対して戦後のドイツから学べと言うのなら、中韓は、ドイツに手を差し伸べたフランスから学ぶべきだと主張するなど、日本に好意的な発言をしています。

 この論説は、安倍内閣が参院選に勝った後、直面する諸課題、即ち、憲法、原発再稼働、アベノミクス及び自民党の党内統制を挙げて、いずれも一筋縄でいく問題では無い、と警告を発しています。

 たしかに、ホーナンの言う通りかもしれません。憲法改正は日本という国家が70年間にわたって解決できなかった懸案であり、原発問題は、もともと広島長崎以来の反原子力国民感情の上に、史上未曽有の大災害の影響があり、アベノミクスは、もう日本経済はダメかと思われた20年間の泥沼から如何に脱するかと言う問題であり、いずれも簡単に解決すると期待される問題ではありません。

 しかし、安倍内閣は、その全部にチャレンジする姿勢です。また、それを達成しようと言う政、官、財界の士気は、今のところ高いと思われます。今後に期待したいと思います。

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