有機農家対談 「ぼくたちの農業」

2013年8月6日

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 興味を持って来てくれた人は面倒を見て、ある程度はコーディネートもして、面白い農業をする人が増えて、つまらない農業が減っていったら、それは楽しい。そこに貢献できたらいいなとは思いますね。講演とかレクチャーも、そういう気持ちでやっています。

久松農園では分割された圃場が機能的に運営されている。

 ただ、真剣にやらないとダメだとは思っています。たとえば厚生労働省の予算消化のような就労支援の無料講演に出ても、誰も聞いちゃいない。お金を払って聞きにいく私塾とかのほうがいいし、あるいはぼくがそういう場を作りたい。ぼくの話に価値を感じる人に話したほうがお互いのためにいい。本もちゃんとしたかたちで出したい。「世の中を変えたい」ではなくて、「話」そのものをおもしろいと思ってくれる人のところにきっちりと「販売」することを、片手間でなくやってもいいのかな、と。その売上で自分一人が食っていけるようになれば、農場経営はもっとラクになるしね(笑)。

 自分のプライオリティは栽培だけにはなくなってきているんです。もちろん栽培も好きなんですけど、良いスタッフが入ってくれて、彼らが喜んでやってくれる「場」を作ることが自分の仕事なんだな、と思えるようになってきました。

 自分でトラクターに乗れば楽しい。でもそうするといつまで経っても俺しかできないから、乗るのを我慢しなくてはならない。

 難しいですよ。やっぱり叱ってしまうことも多い。メインスタッフの優秀な女の子と毎週農場を回るんですけど、できていないことが多くて答えも曖昧だったりするから、今朝もやっぱり叱ってしまって涙をボロボロこぼしていました。まだまだそうなっちゃうんですよね。

 でもどこの会社だって、いつ辞めるかわからない人にちゃんと給料を払ってやっているわけだから、大事な人材に逃げられずにやっていくことも経営手腕ですよね。場を作る、全体を回すことのほうにいまは意義や楽しさを感じています。

 で、自分の農園の「中」でやっていることを、農園の「外」でもできるんじゃないかと感じています。スタッフ間で情報を共有するためにいろいろな仕組みを作ってやっているんですけど、それはひょっとしたらほかの農場や就農希望者にも役に立つものかもしれないから、その出口を考えていきたいなと考えています。

 面白い農家が増えたほうが楽しいですね。小川さんみたいな農家と話がしたい。「有機」についての話も今日みたいな話だったらいいですけど「農薬の安全性が…」ばっかりだったら楽しくない。それよりは野菜をおいしくするほうがクリエイティブですよ。

小川:いいですね。ぼくも経営を考えたい。いまスタッフさんを探していて、目指すところは久松さんのように情報共有しながら運営していくことなんですよね。でもうちは家族ですら共有できていない(笑)。

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