有機農家対談 「ぼくたちの農業」

2013年8月6日

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 そこまでいくにはカネはかかるけどね(笑)。俺のカネで資材買って、種買って、自分でやればできることを給料払ってやらせて、それで失敗されるわけですから、その先を考えないとできないよね。カネを残したいんだったら家族経営にしてコストを抑えて、限られた範囲でやったほうがたぶん手堅く残せる。それだけがやりたいのだったらそうやってリスクは抑えたほうがいいのかもしれない。

 でも家族経営ではできないことをやろうと思いますね。周りの農業者からは「農業はそういうものではない」と言われるから悩んでいたんですけど、ファンになってくれる人はもう少し遠い感覚をもっているんだなと思えてきたんです。近くの人の意見だけ聞いていたのでは絶対ダメだな、と。

小川:ぼくもそこまで踏み込んでいきたいですけど……

ファーム小川の〈実験室〉。

久松:雇用スタッフがあんな種類の栽培をやりますかって(笑)。小川さんも来年は「1品目には1品種限定が当然ですよ!」とかあっさり言っていたりして。

小川:研修生と一緒にやっていると「自分でやったほうが早い!」とつい思っちゃうんですけど、ある程度は認めないと一人でやるしかなくなってしまう。新しい人を仲間に入れるのは難しいですよね。

 就農するときは一人でやろうとも思ったんですけど、やっぱり親の農場を継いで始めたので、ラクな道を選んでしまったのかなとは思いますね。その代わりケンカばかりでしたが。

久松:ぼくも継いでこそいないけど、祖父母は農家だったんでその母屋に住まわせてもらったり、親戚の土地を借りたりしたから、まったくのゼロからじゃない。ずいぶんラクな就農をさせてもらったとは思いますよ。妻はほかの仕事をしていて共働きですし。

小川:結婚したときの理想は共働きだったんですけど、いまは手伝ってもらっていて、ラクなわけですよ。家族だから文句も言えるし。以前はしょっちゅう出て行かれました。妻の実家も近所で、あまりにも近すぎて(笑)。

 どっちもどっちですよね。共働きで「外」からお金を持ってきてくれるのも、「中」でスタッフとしてしっかり動いてもらうのも。最初のころは妻はお手伝いさんでしたけど、最近は効率的に働いてくれるようになってきました。

久松:自主性も大事にしないといけないしね。でもそうやってきたからこそ、家族経営の良さも強さもわかるでしょ? だって、雇用スタッフはある日突然「辞める」んですよ。5年いた人に辞められたら立ち直れないよね。でも、そこは信じてやるしかない。畑が「オレのモノ」ではなくなったんですよね。

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