2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年8月16日

 イランとの交渉は行き詰っており、これを打開する必要があります。まず出来るところからということです。20%濃縮ウランの在庫量制限やフォルドゥの濃縮施設の稼動中止をイランに求め、その見返りに制裁の一部解除を行うという提案を従来してきましたが、上手く行っていません。イランが大幅な制裁解除を求めるのに対し、米国等が応じないからです。行き詰まりの打開は、大幅な制裁解除を梃子に、イランに、より大きな譲歩を迫るしかありません。包括的解決策ということでしょう。新大統領ロウハニ就任で、イラン側がどう変わるか判りませんが、それを一つの契機として動かそうとするのは悪いことではないでしょう。

 イランの提案を待つというのも手でありますが、イランの国内政治は錯綜しています。イラン側がその錯綜をまとめて、新提案を出してくるのは望みが薄いので、こちらから提案を出してイランの対応を促すべきです。

 NPTが濃縮の権利を認めているのかどうかについては、日本はNPT加盟後に濃縮をしているので、日本の例に鑑みれば認めていると言えます。米国が安保理決議をもとにイランの権利を否定するのはいいですが、NPTの解釈としてそうするのは少し無理があります。濃縮を認めた上で、軍事利用への移行をなくさせる手立てを講ずるアプローチの方が適切な気がします。

 日本にとって不都合なシナリオは、米国とイラン、イスラエルとイランが、この問題で軍事的に衝突し、ホルムズ海峡経由の石油が日本に来なくなることです。そういう事態にならないように、交渉が真剣に行われることを望みます。

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