田部康喜のTV読本

2013年8月21日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 プロデューサーがドラマ化を思い立ったのがよくわかる。くせのない磨かれた文章によって、ふたりのユミの心理描写がよく描かれている。ドラマの舞台は東京の郊外に移されているが、小説は熊本が舞台であり、情景描写も美しい。

 「サラマンダー殲滅」で日本SF大賞を受賞している、梶尾は時空小説を数多く手がけていると知る。ドラマによって、読書人生に新たな作家が加わる喜びは大きい。

 タイムマシーン物の最高傑作である、広瀬正の「マイナス・ゼロ」は、2008年に集英社文庫改訂版が再刊されるまで、長らく絶版であった。「本屋大賞」の記念事業で復刊したい本のトップになったことから売り出され、ベストセラーになった。

 わたしが河出書房新社の単行本(1970年刊)を読むきっかけは、NHKのラジオドラマであった。

 文庫本化されたので、放送局の友人らに読んで欲しいと思って、何冊も購入して送った。ドラマ化や映画化の可能性を友人たちは口々にいうのであったが、実現していない。それは、時間のパラドックスに挑戦している原作が、結末を知らせないように幕開きから映像化するのが困難だからではないか。

 今年の夏の緑陰読書のリストに、「ダブルトーン」が加わったのは、よい思い出である。 (敬称略)


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