2024年4月24日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年8月21日

 パナマは臨検、拿捕について評価されるべきである。この事件は北朝鮮が国際的な措置を掘り崩そうと引き続き努力していることを示している、と述べています。

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 この論説の指摘は、当然の内容です。今回の事件を契機として、安保理決議によって、公海においても北朝鮮船舶を臨検できるようになるかどうかは、今後の安保理での折衝に係りますが、中露がそれに同意するか疑問ですから、難しいように思われます。しかし、違反があったのに何もしないのか、と問題提起して、北朝鮮とキューバ、更に中露に圧力をかけることは、続けるべきでしょう。

 本件により、キューバはミグ21など古い兵器を修理して使わざるを得ない状況にあり、その戦力は相当落ちていること、また北朝鮮の状況も相当に苦しくなっていることが明らかになりました。しかし、北朝鮮には、兵器くらいしか輸出するものがありません。北朝鮮が核技術やミサイル技術をキューバに提供すると、米国の安全保障に大きな影響があります。これは日本にも間接的に影響しかねません。今回は古い兵器の問題でしたが、北朝鮮とキューバの協力には警戒心を持って対処する必要があるでしょう。

 核開発やミサイル開発では、時間は北朝鮮にとって有利に働きますが、経済など基礎体力の維持については、時間は北朝鮮にとって不利に働きます。前者を考えれば、取り組みを急ぐ必要がありますが、後者のことも考えると、必ずしも焦ることもなく、バランスをとりつつ対応するということに落ち着くのでしょう。

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