進行性の病気と向き合うとは
車椅子マラソンで風を切って走り続ける

車椅子陸上競技 木山由加さん(岡山県身体障害者陸上競技連盟)


大元よしき (たいげん・よしき)  ライター

1962年東京生まれ。外資系IT企業からライターに転身。スポーツのほか、歴史関連も執筆中。著書に『あの負けがあってこそ』『命のバトン―自閉症児と個性派不登校児の教室』『1万回の体当たり―タックルマン石塚武生 炎のメッセージ』(以上ウェッジ)、『一緒に見上げた空』(扶桑社)。

障害者アスリート~越えてきた壁の数だけ強くなれた

世界最高峰の障害者スポーツ大会『パラリンピック』を目指すアスリートたちの「乗り越えてきた壁」に焦点を当て、スポーツの価値や意義を問うと共に障害者アスリートを取り巻く環境について取材していく。

»最新記事一覧へ

「『そんなニコニコしてると舐められるよ』」なんて言われるんです。緊張もするし、真剣にもなるんですよ、それなのにいつも笑ってしまって、もっとしっかりせんと! と周りに言われるけど、普段からこんな感じなので変えられないんですよね~(笑)。しんどい練習中でも、あんまり顔に出ないので「もっと真剣に走れ!」って言われることがあります(笑)。そこが悩みどころです」

 とお茶目な反面、

 「ロンドンパラリンピック前と同じことをやっていたら、それ以上にはいけないじゃないですか。だから、変える必要があるんです。病気は進行するかもしれないけど、筋トレをして負荷を与えてみようかなと考えています」

 と競技にストイックな面も併せ持っている。

 今回はフランスで開催されたIPC陸上競技世界選手権大会に向けた強化合宿期間中にお話を伺った。

「みんなと同じでありたい」

 車椅子陸上競技選手 木山由加(きやま ゆか) 岡山県生まれ。

木山由加さん (写真:筆者撮影)

 家族は両親と兄の4人家族。

 「私も兄も障害は生まれつきでした。母親からの遺伝です。「脊髄(せきずい)小脳変性症」という進行性の病気です。進行性と言っても急激に悪化したりすることはないのですが、運動機能が低下する病気なので過剰に負荷の掛かった筋トレや運動をすると病気が進行すると言われています。だから、今やっていることは病気を進行させることなんですね。でも自分が頑張っていることなので気にはしていませんし、競技に対する姿勢が変わることもありません」

 握力は現在約5kg程度、最近ボタンの付け外しが上手くいかなくなったり、手が震える感覚が強くなってきている。

 病気の発症がわかったのが小学校の低学年。周りの子たちよりも歩くのや走るのが遅く、何もないところでも転んだりしていた。当然のことながら、木山はそれが障害とは思わなかったが、体育はやりたくても、危ないからという理由で見学ばかり。友人からは気を使われ、それが精神的につらかった。

1
nextpage
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
「障害者アスリート~越えてきた壁の数だけ強くなれた」

著者

大元よしき(たいげん・よしき)

ライター

1962年東京生まれ。外資系IT企業からライターに転身。スポーツのほか、歴史関連も執筆中。著書に『あの負けがあってこそ』『命のバトン―自閉症児と個性派不登校児の教室』『1万回の体当たり―タックルマン石塚武生 炎のメッセージ』(以上ウェッジ)、『一緒に見上げた空』(扶桑社)。

WEDGE Infinity S
ウェッジからのご案内

Wedge、ひととき、書籍のご案内はこちらからどうぞ。

  • WEDGE
  • ひととき
  • ウェッジの書籍