世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年8月28日

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 豪州が対中FTA交渉を見直し、難航していた外国直接投資への審査規制を交渉から切り離して、早期妥結を優先する方針を打ち出したことについて、豪州にとってのメリットとリスクについて、7月18日付オーストラリアン紙が解説しています。

 すなわち、豪中FTAを成立させたいラッド政権は、中国からの投資に関する規制緩和を協議する用意があり、中国からの投資に対する豪州の姿勢は大幅に見直されることになろう。新任のMarles貿易相は、この分野について譲歩を検討する用意があることを既に示唆している。

 豪中間の包括的FTAは、先月、ラッドが首相に返り咲いた直後に行なわれた習主席との電話会談の中で両者が協議の復活を約束し、政治的課題として急速に復活したのである。

 もっとも、中国からの投資拡大に向けて動くに際しては、政治的リスクを覚悟せねばならない。そうした動きは、豪州経済にとって利益になるかもしれないものの、国内では一部にそれに対する強い反対があるからだ。

 現行の規則では、中国を含む大多数の国の企業や個人は、2億4800万ドル超の投資については外国投資審査委員会(FIRB)の承認を得る必要があるが、中国はこの枠を対米、対ニュージーランド並みに10億ドルに拡大することを望んでいると思われる。また、額に関わらず、国営企業による投資は全て自動的にFIRBの審査対象となることも終わらせたいと思っているだろう。

 一方、FTA交渉は、2005年に、豪州の輸出業者が北京の課す割当、関税、煩瑣な手続き等から解放されることを期待して始まったが、合意を結ぶには至らなかった。しかし、中国との貿易は、その後も拡大し、今や中国は豪州の最大の貿易相手国となっている。

 Marles貿易相は、対中貿易の重点が、資源の供給から拡大する中国の中間層への物やサービスの供給へと変わる中、中国とのFTAは農産物の輸出業者のみならず、サービス業や製造業者にとっても弾みになる、と述べたが、実際、ニュージーランドの酪農部門はニュージーランド=中国FTAのおかげで活性化している。そのため、豪州の輸出業者は、豪中間でも同様に有益な協定が結べるのではないかと期待している。

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