2024年4月20日(土)

ワシントン駐在 政治部記者が見つめる“オバマの変革”

2009年4月3日

 まず、ガイトナー財務長官。この件が発覚する前の2週間前から事実を把握していたことが明らかになり、国民の怒りの矛先は、AIGだけでなく長官にも向かっている。野党・共和党内からは長官の更迭を求める声も出ている。

オバマ大統領(手前)と向かい合うガイトナー財務長官 出典/ White House

 同じく、サマーズ国家経済会議(NEC)議長。発覚直後の3月15日のテレビ番組で、「言語道断だ」と怒ってみせたものの、ボーナスそのものの扱いについては煮え切らない態度をみせた。

 一方、オバマ大統領は翌16日の月曜日、この二人の経済専門家とは一線を画す演説をすぐに行った。ホワイトハウスに中小企業経営者らを招いた昼食会でのことだ。

"How do they justify this outrage to the taxpayers who are keeping the company afloat?...This isn't just a matter of dollars and cents. It's about our fundamental values. All across the country, there are people who work hard and meet their responsibilities every day, without the benefit of government bailouts or multi-million dollar bonuses....And all they ask is that everyone, from Main Street to Wall Street to Washington, play by the same rules. This is an ethic we must demand."

 (「この会社を破産させずに支えている納税者に対する侮辱を、彼ら(AIG)はどう正当化するというのか。(中略)これは、単なる金額の問題じゃ ない。我々の根本的な価値にかかわる話だ。全国津々浦々で、政府の救済の恩恵もなく、巨額のボーナスもないまま一生懸命働いて、毎日責任を果たしている人 々がいる。(中略)この人たちがただ求めているのは、小さな商店街からウオール街、ワシントンに至るまで、みんなが同じ決まりで動くということだ。これは、我々が追求しなければならない倫理だ」)

 大統領は平易な英語でストレートな怒りを表したうえで、ガイトナー長官に対し、あらゆる法的手段を使ってボーナスを取り返すよう指示した、と述べた。3日後の19日、米下院は、公的資金で救済された企業幹部のボーナスに90%の高税率を適用する法案をスピード可決した。

 このところ、大統領は自らの露出度を高めている。人気バラエティー番組の"The Tonight Show With Jay Leno"(3月19日)、長寿報道番組の"60 Minutes"(20日)、”Face the Nation” (29日)などに立て続けに出演し、23日には夜のテレビのプライムタイムの時間帯に長い記者会見を行った。会見では、ほとんどの時間を経済問題の説明に費やし、イラク戦争の開戦からほぼ6周年の日だったというのに、「イラク」「アフガニスタン」は、単語すら出なかった。


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