科学で斬るスポーツ

2013年8月27日

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玉村 治 (たまむら・おさむ)

スポーツ科学ジャーナリスト、科学ジャーナリスト

小学校より野球をはじめ、大学では投手として活躍。スポーツを科学的に分析することを得意とし、バンクーバー、ロンドン五輪、ワールドカップサッカーなどで取材。

 実際、このイメージが共有できていなかったのが、コンフェデ杯であり、8月14日、国際親善試合として行われたキリンチャレンジカップ2013のウルグアイ戦でも、それを象徴するシーンが見られた。

 前半27分、日本代表の吉田麻也は、ウルグアイのストライカー、スアレスをオフサイドの位置に置こうと上がったが、この動きに今野泰幸と酒井高徳は同調できず、縦パス1本でスアレスに走られ、最後はフォルランに先制ゴールされた。共有したイメージが持てず、虚を突かれた形だ。ここがザックジャパンの最大の弱点といえる。頭で考える科学的な練習を繰り返し、克服するしかない。

強み・弱みを冷静に分析

 日本サッカー協会のコンディショニングサポート活動に携わる安松幹展・立教大教授によれば、W杯日本代表の身体能力は、欧州選手と比較してもけっして低くない。

 サッカーは、1試合に10~15㎞走る、持久力が問われるスポーツだ。その点、持久力を示す指標の一つである「最大酸素摂取量」や、強度の高い運動後の回復能力において、日本選手の方が高い。

 さらにゲームの中で発揮されるスピードで面白いデータがある。主に脳活動である認知スピード、予測スピード、決定スピードに続いて、筋肉を含む反応スピード、運動スピード、行動スピードと移行していくが、測定可能なのは反応スピード以降で、0~10mまでは日本選手が早い。その後、20mでは0.1秒欧州選手が早くなる。距離に換算して1mの差となる。瞬発力は日本選手が強い。

 もちろん身長差、ジャンプ力は20cmの差があるが、筋力は劣っていない。

 こうした強み、弱みを冷静に分析した上で、試合における情報収集力、予測力、そして共通の目的を持つイメージ力の共有を図っていくことが今後の浮上の課題である。新しい選手の加入、練習不足、フォーメーションの変化などによって選手間イメージが共有できなかったことも大きいが、ブラジルW杯まで1年弱。今後の国際戦で、いいところは伸ばし、反省すべきところは改善する。「眼術戦」を含めた「頭脳戦」の戦略をどう描くか。日本らしい戦い方の確立のためにどう歩むか注目したい。

[特集] 不屈のアスリートたち


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