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2013年9月19日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年東京生まれ。1987年早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社、独立。現在、経済政策を中心に政・財・官を幅広く取材、各種メディアに執筆するほか、講演やテレビ出演、勉強会の主宰など幅広く活躍している。オフィシャルHP(http://isoyamatomoyuki.com/)

著書に『2022年、「働き方」はこうなる』(PHPビジネス新書)、『理と情の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP)、『国際会計基準戦争 完結編』(日系BP)、『ブランド王国スイスの秘密』(日経BP)など。共著に『オリンパス症候群 自壊する「日本型」株式会社』(平凡社)、『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。

早稲田大学政治経済学術院(大学院)非常勤講師、上智大学非常勤講師。ボーイスカウト日本連盟理事。静岡県ふじのくにづくりリーディングアドバイザーも務める。

日経ビジネスオンライン(日経BP)、現代ビジネス(講談社)、フォーサイト(新潮社)、月刊 WEDGE(ウェッジ)、月刊 エルネオス(エルネオス出版)、フジサンケイビジネスアイ(産経新聞社)などに連載コラムなどを持ち、定期執筆している。

巨額資金をかけずに、身近なところから災害に備えようという試みが始まっている。従来の2~3倍の距離まで音が届くスピーカー、格安シェルター……。これを用意すれば絶対に大丈夫と言えないのが防災の難しさだが、自分の身を守る方法に思いを巡らせてみてはいかがだろうか。

 東日本大震災から2年半が経った。大津波による深刻な被災を受けた海岸線では、国の事業として巨大な堤防の建設が続いている。高さ7メートルを超えるコンクリートの壁を作ることに地域住民などから反対が起きている地域もあるが、工事は粛々と進んでいる。

 震災後、南海トラフ地震のリスクが叫ばれるようになり、予想される津波の高さなどが見直された。静岡県や高知県などでは20メートルを超す津波が数分で押し寄せるといった予測が出されている。どんな巨大堤防を造っても自然の力には抗しきれないという現実を突き付けられている。

 そんな中で、巨額の資金をかけずに、身近なところから災害に備えようという試みが官民さまざまなところで巻き起こっている。

 千葉県旭市。銚子市の西、九十九里浜の北端にあたる場所に広がる人口68000人余りの市である。農業・漁業が盛んなほか、夏になると多くの海水浴客が訪れる。東日本大震災では16人の死者・行方不明者が出たほか、1280世帯の家屋が全半壊したが、ほとんどが津波による被害だった。大津波警報が発令されてから最大波が襲うまで2時間。避難体制のあり方に大きな教訓を残した。

 その1つが情報の伝達。市内113カ所に設置した防災無線のスピーカーで避難を呼びかけたが、その後のアンケートで「聞こえなかった」という回答が予想以上に多かったのだ。スピーカーから出た音が風に流されたり、離れた2つの音がズレて聞こえたりして、何を言っているか分からない状況が多発したのだ。

そこで旭市は、ちょうど総務省が募集していた「住民への災害情報伝達手段の多様化実証実験」に参加。情報伝達システムの見直しを行った。避難しようにも正しい情報が迅速・確実に伝わらなければ逃げようがない、と痛感したからだ。

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