復活のキーワード

2013年9月19日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、東京証券部、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長などを務める。11年からフリーに。熊本学園大学招聘教授。近著に『国際会計基準戦争 完結編』(日経BP社)。

巨額資金をかけずに、身近なところから災害に備えようという試みが始まっている。従来の2~3倍の距離まで音が届くスピーカー、格安シェルター……。これを用意すれば絶対に大丈夫と言えないのが防災の難しさだが、自分の身を守る方法に思いを巡らせてみてはいかがだろうか。

 東日本大震災から2年半が経った。大津波による深刻な被災を受けた海岸線では、国の事業として巨大な堤防の建設が続いている。高さ7メートルを超えるコンクリートの壁を作ることに地域住民などから反対が起きている地域もあるが、工事は粛々と進んでいる。

 震災後、南海トラフ地震のリスクが叫ばれるようになり、予想される津波の高さなどが見直された。静岡県や高知県などでは20メートルを超す津波が数分で押し寄せるといった予測が出されている。どんな巨大堤防を造っても自然の力には抗しきれないという現実を突き付けられている。

 そんな中で、巨額の資金をかけずに、身近なところから災害に備えようという試みが官民さまざまなところで巻き起こっている。

 千葉県旭市。銚子市の西、九十九里浜の北端にあたる場所に広がる人口68000人余りの市である。農業・漁業が盛んなほか、夏になると多くの海水浴客が訪れる。東日本大震災では16人の死者・行方不明者が出たほか、1280世帯の家屋が全半壊したが、ほとんどが津波による被害だった。大津波警報が発令されてから最大波が襲うまで2時間。避難体制のあり方に大きな教訓を残した。

 その1つが情報の伝達。市内113カ所に設置した防災無線のスピーカーで避難を呼びかけたが、その後のアンケートで「聞こえなかった」という回答が予想以上に多かったのだ。スピーカーから出た音が風に流されたり、離れた2つの音がズレて聞こえたりして、何を言っているか分からない状況が多発したのだ。

そこで旭市は、ちょうど総務省が募集していた「住民への災害情報伝達手段の多様化実証実験」に参加。情報伝達システムの見直しを行った。避難しようにも正しい情報が迅速・確実に伝わらなければ逃げようがない、と痛感したからだ。

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