経済の常識 VS 政策の非常識

2013年9月14日

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 13年度では90兆円に減っているが、これは補正予算がまだ決まっていないからである。突発的災害に対して補正予算を組むのは当然だが、現実にはほぼ毎年補正を組むのが慣習となっている。実際に、08年度から12年度まで毎年補正予算を組んでいる。13年度の歳出も100兆円となるだろう。もちろん、08年度はリーマンショックがあり、11年度は11年3月の東日本大震災に対応するために補正予算を組むことは必要だった。しかし、他の年度は、予算作成後に生じた事由に基づき緊要となった経費のためとは解釈できない。

 20兆円の支出増に対して、消費税を5%上げても、1%で2.5兆円の税収とされているので12.5兆円の増収にしかならない。予算を使わないようにすることが一層大事なのだ。高齢化による社会保障支出の増加はやむを得ないという反論があるだろうが、07年から12年までに65歳以上の高齢者は12%しか増えていない。社会保障費は予算の3割であるから、全体の予算は0.3×12%で4%しか増えないはずである。児童手当の増額による歳出の増加は1.7兆円にすぎない。なんで20兆円も歳出が増えたのだろうか。このことをよく考えない限り、いくら増税しても財政再建など到底無理だ。

 なぜ20兆円も歳出が増加してしまったかと言えば、消費税増税に賛同してもらうために予算を配ったからである。膨らんだ歳出の穴を埋めるために消費税増税が必要になると納得してもらうためである。結局、歳出を20兆円膨らませて12.5兆円埋めるだけだ。財政赤字は増えてしまっている。

 財政当局の立場に立てば当然だ。予算を配ることが力の根源であるから、配れる予算は多い方が良い。財政赤字はない方が良いと思っているだろうが、それほど切実ではない。これだけ財政赤字が多いのに金利は世界一低い。教科書には、財政赤字は金利を上げると書いてあるが(上がらない場合があることも書いてあるが、あくまでも付随的な記述である)、日本にいれば教科書が信じられないのは当然だ。

 すると消費税増税がどうなるかが分かってくる。首相は増税による景気の腰折れを心配している。それなら増税した分を配ってしまえということになる。民間から取り上げて、また民間に配るのだから、腰折れ要因にはならない。しかし、政府は民間よりもうまくはお金を使えない。国のお金を適当に使っても自分の懐は痛まない。無駄な支出に回すことになり、長期的には日本経済の効率性を損なう。その一方で、配るお金が増え、政治家と役人の権限は拡大する。

古い自民党が
復活する?

 7月の参院選の投票率は史上3番目の低さだった。投票率が低ければ組織票を持つ候補者が有利になる。組織票とは、政府の予算や規制と絡んで政府に影響を及ぼしたいと考えている人々の票である。その票に支えられた政治家が今回の選挙で増えたのである。

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