中国が米国と並ぶ海洋大国に?
海軍増強の現状


世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察するコラム。

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米海軍大学准教授のエリクソンとChina Sign Post共同設立者のコリンズが、National Interest誌ウェブサイトに8月6日付で掲載された論説で、中国の造船業は急速に発展しており、軍事面では通常型潜水艦、水上戦闘艦を中心に建造に力を入れ、このまま行けば2020年までに米国を抜いて軍艦の製造数で世界一になる、と指摘しています。

 すなわち、中国の軍事技術の発展のスピードと高度化は繰り返し過小評価されてきた。

 現在中国では7種類の潜水艦と水上戦闘艦を同時に開発、生産しているが、これに匹敵できるのは米国だけである。2000-2010年の世界的な商品市況の高騰で、原材料を運ぶ船舶に対する需要が高まり、中国の造船業は世界一となった。中国の民間海上貿易の増加の結果、民間海上輸送は強力な海軍が支援しなければならないという社会的、政治的コンセンサスが作られた。米国で軍事予算が不足し、造船業が作業員の人手不足、老齢化に見舞われているなかで、ここ10年で中国が軍艦の建造で世界一となることは十分考えられる。

 中国の軍艦建設は、現在量より質に重点を置いている。軍艦用対艦巡航ミサイル、防空システムの開発が進み、大型の駆逐艦より小型のフリゲート艦を優先している。高度化と技術革新力において、造船業は、軍需産業においてエレクトロニクスに次ぎ第2位の地位を占めている。

 中国筋は、アデン湾での中国海軍の経験が、貴重な経験を与えていると述べている。アデン湾での作戦で、電子機械、トイレ、空気圧搾機などの故障が多く、また展開中の艦船の修理作業をしたり、攻撃用電子製品を配備したりするスペースが足りないことが分かった。その経験を生かして、新しい水上戦闘艦は、よりすぐれた電子製品を搭載し、また、よりスペースの大きいものとなるであろう。

 中国の軍用造船業の将来を左右する1つの要因は関連技術者の労賃であるが、技術者を確保するため、労賃の上昇は受け入れられるであろう。エレクトロニクス、センサー、データ処理の分野での技術革新は進むであろう。近代的な水上戦闘艦と通常の潜水艦を数多く生産する能力はさらに向上するであろう。

 今後の見通しについては以下の可能性がある。中国は、1)2015年までに大型軍艦の建造で世界第2位となる、2)米国で海軍の蘇生(U.S. naval renaissance)がない限り、2020年までに潜水艦、水上戦闘艦、その他の水上船舶の年生産数で世界一となる、3)造船全体で、2020年までに2013年のロシアの技術水準に、2030年までに2013年の米国の技術水準に達する。

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