2024年4月19日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年9月6日

 2008年以来の国民党馬英九政権下で、中台関係の緊張が緩和したことは米国をひと安心させたが、米国としては引き続き台湾海峡の「現状維持」を支持する姿勢を明言するとともに、台湾へのコミットメントを減少させてはならない、と論じています。

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 本論評は、台湾を見捨てて中国との宥和をはかることを説く人たちを批判するもので、その論旨は明快、かつ説得力をもっています。

 中国が「第一列島線」を突破しようと考える時、戦略上、中国が最も望む場所が台湾です。台湾東部海岸は直ちに深海につながっているので、潜水艦の活動にとってこれほど好都合な所はありません。その台湾を見捨てるという議論は、本論評の言う通り、米国の西太平洋における安全保障体制に「大きな穴」をあけるようなもので、この地域の勢力均衡に計り知れない悪影響を及ぼします。

 最近の米国政府要人の発言の中で、台湾が明示的に言及されることはまずありません。台湾の人々は、このような米国の態度に対し、不安感を抱いているように見えます。米政府としては、台湾海峡の「現状維持」を支持していること、「台湾関係法」の規定を順守する考えに変わりがないことを、折に触れ公然と表明することは、台湾の人々が中台関係を処理する際の自信につながるでしょう。

 「現状維持」という概念は、言うのは簡単ですが、実際に何をどこまで行うか明確でないこともあります。実際に、「現状維持」をめぐって、中台間では日々激しいせめぎ合いが行われています。そのような状況下で、台湾としては米国の一貫した関与を期待するのは当然でしょう。

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