2024年4月19日(金)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2013年9月5日

 「そのことによって軍との軋轢を指摘する声が高まっていたのです。少し落ち着いたら軍からの巻き返しがあるのではと考えられていたときだけに、軍に1つの鞭を加える観点からも大きな効果があった人事だと考えられています」

 「こうした人事は習主席が個人で行えるものではありません。軍歴や実績などを考慮して名簿を作成しなければ、それが大きな反発を招くことになるからです。当然、その下書きとなる人事案は制服の幹部たちの手によって作られるのですから、彼らが非常に協力的であったことがうかがえるのです」

新たに昇格した解放軍の面々

 では、具体的にどんな人物が昇格したのかを見てみよう。

1.呉昌徳 総政治部副主任
1952年生まれ、江西省大余出身。陸軍第31集団軍政治部主任、総政治部宣伝部部長、成都軍区政治部主任などを歴任。2008年の四川大地震で活躍し、同年7月に中将に昇格。

2.王洪尭 総装備部政治委員
1951年に山東省済寧に生まれる。陸軍第54集団軍政治委員、瀋陽軍区政治部主任、瀋陽軍区副政治委員などを歴任。2009年に中将。2011年6月から総装備部政治委員。

3.孫思敬 軍事科学院政治委員
1951年に山東省青島に生まれる。第一軍医大学政治委員、解放軍総医院政治委員、総後勤部政治部主任、総後勤部副政治委員などを歴任。2007年7月より中将。

4.劉福連 北京軍区政治委員
1953年生まれ、安徽省来安出身。陸軍第27集団軍政治委員、北京衛戎区政治委員(部区大軍区職に相当)などを歴任。2008年7月に中将。

5.蔡英挺 南京軍区司令官
1954年に福建省泉州に生まれる。中央軍委副主席(張万年上将)秘書、陸軍第31集団軍軍長、南京軍区参謀長などを歴任。2009年に中将に昇任された後、2012年10月から現職。

6.徐粉林 広州軍区司令官
1953年に江蘇省金壇に生まれる。陸軍第47集団軍軍長、陸軍第21集団軍軍長、広州軍区参謀長などを歴任。2008年7月に中将。2009年12月から現職。

政権移行時に、軍における
一切のポストから退いた胡錦濤

 こうして昇格人事を並べてみて分かることは何か。人事のポイントが、四総部(総参謀部、総政治部、総後勤部、総装備部)の人事だけでなく大軍区の人事にも関わっていることだと指摘するのは、党中央の関係者だ。


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