世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年9月13日

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 マイケル・グリーンが、中央日報(英語版)に8月6日付で寄稿した論説で、米、韓の専門家の一部には、中国の対北朝鮮政策が変わりつつあるという期待が出て来ているが、中国の政策には戦術的な調整は見られても、根本的な戦略の変化があるとは言えない、と指摘しています。

 すなわち、ソウル、そしてワシントンのシンクタンクや政府機関の一部には、中国の北朝鮮に対する姿勢が、北の核問題を解決する助けとなる方向に変わりつつあるかもしれない、という認識が高まっている。朴槿恵大統領の「朝鮮半島信頼プロセス」(trustpolitik)戦略も、北に対して、非核化と南への関与を促すために、中国により大きな圧力をかけてもらうことを目指すものである。現時点では、中国の北朝鮮に対する姿勢については、以下のように見るのが妥当であろう。

 第一に、中国の指導部と国民は、金正恩体制には辟易している。金日成と金正日は、北京の顔を立てることを知っていた。胡錦濤は、金正日を全く好んでいなかったが、習近平と現在の指導部は、金正恩を軽蔑しているように見える。中国指導部は、金正恩に対するネット市民の怒りにも応えなければならない。中国東北部の中国人は、北朝鮮による核実験が環境に悪影響を与えることを恐れているかもしれない。中国人は怒っているが、それだけでは、必ずしも中国の政策が変わることを意味しない。

 第二に、中国指導部は、朴大統領の支持を得たいと思っている。中国政府は、韓国を、李明博前政権の強硬路線から訣別させ、長期的には、米韓の安全保障上の結びつきを弱めるか、少なくとも、中韓間の強固な経済および政治対話によって、バランスをとろうとしている。北京は、朴政権との間に機会を見出しており、平壌を犠牲にしてでも、ソウルへの好意を示すことに躊躇を感じていない。

 第三に、中国は、北の核実験の後、北朝鮮へのアプローチを調整してはいるが、根本的に変えたわけではない。中国は、主要銀行の北朝鮮との取引を禁止することによって安保理決議を履行したが、中小地方銀行による北朝鮮との取引は容認し続けている。中国政府が北朝鮮向けの積荷をより慎重に精査していることを示唆する証拠はあるが、それは、単発的にやっているだけである。中朝貿易も増え続けている。中国政府は、北朝鮮の不安定化や崩壊につながるような圧力には抵抗し続け、鞭に対応して飴も与え続ける。重要な戦術的調整であるにしても、全面的な戦略の変更ではない。

 第四に、中国の専門家の間に、北朝鮮は改革開放に向かわざるを得ないであろう、という見方が広がっている。中国の当局者や専門家のほとんどは、金正恩が近いうちに核開発を諦めることはないと考える一方、北朝鮮は最終的には鄧小平流の経済開放を選ばざるを得ないだろうから忍耐戦略は意味がある、と主張する。これは、ワシントンでの主流の見方とは異なる。ワシントンでは、北朝鮮の兵器開発は、開放という政治的リスクを冒さずに、体制による統制と北東アジアの近隣国への威圧的な梃子を維持する手段であると見られている。

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