ビジネスパーソンのためのエンタメ業界入門

2013年9月13日

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山口哲一 (やまぐち・のりかず)

音楽プロデューサー、コンテンツビジネス・エバンジェリスト

1964年東京生れ。音楽プロデューサー、エンタテック・エバンジェリスト。(株)バグコーポレーション代表取締役。『デジタルコンテンツ白書』(経済産業省監修)編集委員。プロ作曲家育成の「山口ゼミ」 、次世代プロデューサーを養成する「ニューミドルマン・ラボ」主宰。エンタメ系スタートアップを支援する「START ME UP AWARDS」実行委員長。異ジャンルのクリエイターが出逢い創る「クリエイターズキャンプ真鶴」オーガナイザー。プロデュースのテーマは、テクノロジー&ソーシャルメディア活用、グローバルな活動、異業種コラボレーションの3つ。エンターテインメントとテクノロジーに関する知見を活かして、パネルディスカッションのモデレーターやITサービスへのアドバイザーとしても活動している。最新刊『新時代ミュージックビジネス最終講義』(リットーミュージック)の他、著書多数。詳細プロフィールはこちら

日本でCDが売れ続ける理由

 まず、何故、日本ではCDが売れているのか? パッケージ市場の強さの理由に4点を挙げたいと思います。

 ビジネスの仕組みとしては、再販制度と特約店制度があります。

 再販制度は、正式には再販売価格維持制度で、本来は市場原理に任せて決めるべき価格を、例外的に製造側の定価販売を認めるという法律です。文化的な消費財に価格競争は馴染まないという趣旨で、現在は、書籍・雑誌・新聞・音楽CD・音楽テープ・レコードの6品目が指定されています。多くのCDは、この再販制度の対象となっており、どこのお店で買っても、金額は同じです。レコード会社は、例えば家電メーカーなどの消費財と比較すれば、利益が計算しやすい状況になっています。

 特約店制度は、レコード会社とCD店が直接契約をする仕組みです。契約がないお店は、卸店を通じて仕入れる方法はありますが、ほとんどのCDチェーン店はレコード会社と直接契約をして商品を仕入れています。レコード会社とCD店が共存共栄の仕組みを熟成させているのです。表向きの利益は、どのお店も一緒ですが、個別のバックマージンや返品率の数字で調整するという複雑な仕組みです。

 これだけが原因ではありませんが、海外ではほとんど姿を消しているCD専門チェーン店が日本では4社も残っています。それ以外にも、山野楽器や、DISK UNIONといった専門店や京都のJEUGIAなどの地域店もあります。ビレッジバンガードやfranc francなどの雑貨店でもCDが売られています。日本市場固有の強みと言えるでしょう。

 3つめの理由としては、日本のパッケージ製品の品質の高さも挙げたいです。

 洋楽の輸入盤と国内盤を比較すればわかりやすいですが、日本のCDは、丁寧に作られています。DVD付きなど様々な特別版があります。豪華ブックレットなど、ユーザーがコレクションとして所有したいという欲望を刺激します。

 世界180の国と地域で放送されているNHK国際放送の音楽番組「J-MELO」による海外ファン向けのアンケート調査「J-MELOリサーチ」でも日本のCDのクオリティを高く評価されています。今や、音楽CDは、J-POPの象徴にもなっているのです。

 最後に、AKB48商法に代表される、一人のユーザーに複数枚購入を促す手法も、理由の一つに挙げるべきでしょう。以前から、保存用と再生用など複数枚購入をするコアユーザーは存在しました。そこにAKB48は、握手券や投票券の封入という、いわば「禁じ手」的な手法で、ファン心理を煽ることに成功しました。

 CDの破棄が社会問題になるなど、行き過ぎている側面もありますが、これも日本特有の現象です。

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