2024年4月25日(木)

ペコペコ・サラリーマン哲学

2009年4月6日

 いまの政治は、たしかにスピード感もないし、麻生首相がブレたりしていますが、その混乱こそが、社会の安定を逆説的に示しているともいえます。麻生首相が給付金を受け取るか受け取らないか、中川昭一・前財政金融相が酒を飲んでいたかいなかったか、小沢代表が献金の違法性を認識していたかいないか・・・いずれも問題でないとはいいませんが、私の考えではたいした問題ではありません。たいした問題ではないことで政権が倒れるくらいの混迷に陥っていることこそが、日本の良さだといえると思うのです。

 日本の政治は大局観がなさすぎるとか、ウェイトの軽重をつけられないといった批判があります。そういう面もありますが、この日本の政治がもつ「あいまいさ」は、長い目で見れば、いいことなのかもしれない、という見方を私はしています。

社会が一方向に振れることの怖さ

 しかし、最近の政治状況やメディアの姿勢をみていると、社会が一方向に急激に振れる傾向が強くなってきているように感じます。数年前の「小泉旋風」や、最近の「麻生たたき」はその典型です。

 小泉さんは、政治家にしては珍しく率先垂範の姿勢がありました。小泉さんにだきついたり、小泉さんをほめたたえたり、何かの一つおぼえのように「改革、改革」と叫んでいる人たちに比較して、小泉さん自身はカネにもきれいでした。そして何といってもかっこよかった。70歳を過ぎた私の目から見ても、かっこよく見えました。でも、あんな「旋風」が起きてしまうのはおかしい。熱狂には、必ず危うさが潜んでいるものです。

 昨年のアメリカ大統領選挙や、オバマ大統領の就任演説をみて、「さすがアメリカ」「やはりアメリカはすごい」という人がたくさんいましたが、あのアメリカ国民の熱狂ぶりは危ういと私は申しています。オバマ大統領はこの「大の10乗」くらいの超・大不況を解決する処方箋など示していませんし、そもそもオバマ大統領ひとりの力で切り抜けることなどできるはずがありません。「なんだかよくわからないけど、感情だけで一方向に進んでしまう」ことほど怖いことはないのです。


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