世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年9月18日

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 8月20日付米American Enterprise Instituteのサイトで、Thomas Donnelly同研究所AEI主任研究員が、北朝鮮の核・ミサイル開発は、金王朝の生き残りに役立っており、イランが手本にしているが、オバマ政権はイランに対し先制攻撃をすることはなさそうである、と述べています。

 すなわち、コリン・パウエル元国務長官は、北朝鮮の核計画について、米国は、「北朝鮮は、少数の核兵器保有の為に…時間と金を無駄使いして、国家を破綻させている。」という認識であると述べている。

 金王朝は、三代目になっても、制裁という鞭や援助・経済発展という飴にまともに反応しない不可解な国である。2000年に、エコノミスト誌が表紙に金正日の写真を掲げ、「地球人よ、こんにちわ」というタイトルを付けて、彼を宇宙人扱いしたことがある。

 北朝鮮にとって世界は全く違うものに見えている。北朝鮮は自らの国民と外部世界の双方を恐れている。金正恩は、祖父、父と同様に、国民全体を恐れているだけでなく、誰かが宮廷革命を起こすことも恐れている。外部世界も、脅威である。38度線に接して、強力かつ繁栄する韓国という米国の傀儡が存在しているからである。

 小規模の核戦力は、民衆に対しては役立たないが、日米韓に脅威を与え、中国から多少の敬意を得るには役立つ。また、かつて「悪の枢軸」と言われたような核拡散ネットワークに属する世界からは、敬意と外貨とエネルギー供給と技術を獲得できる。パウエルも言うように、核の使用は「自殺行為」である。しかし、核保有は、安上がりで効果的かつ決定的な抑止力になる。20年前には、北朝鮮はどん底にあると言われていたが、国民の10%が餓死しても、金体制は続いている。

 北朝鮮は100万人の陸軍とソウルを射程内に置く数万の火砲・ロケット弾を保有している。それだけで、米国や韓国の介入を阻止するには十分であるので、核兵器は不要との見方もあるが、北朝鮮の考えは違う。

 北朝鮮は、イラクのサダム・フセイン、アフガニスタンのタリバンが米国によって簡単につぶされたことから学んでいる。米国は、子供がトンボの羽をむしり取るように、気分次第で簡単に他国の体制転換を図る国である。核能力を保有していなければ、米国に何をされるか解らない。北朝鮮は20年がかりで核能力を獲得し、自らの運命を手中に収めたことにより、第2次大戦後で最長の独裁政権の一つになっている。

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