世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年9月20日

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 イラン経済が混乱し国民の不満が鬱積しているため、ロウハニは核問題で限定的取引をする可能性があるが、イランはハメネイを中心とするイデオロギー信奉者が実権を握っており、ロウハニの政策の障害となるであろう、と米外交問題評議会のタキーが8月16日付インターナショナル・ヘラルド・トリビューンで述べています。

 すなわち、ナセルやサダム・フセインのような中東の指導者は、イデオロギーは唱えたが真剣でなく、機会主義的で、利益になると思えば米国とも取引した。しかし、イランはそれらとは違う。1979年のイラン革命で登場したイラン政権は、不正から地域を救う使命を帯びていると自任しており、米国やその同盟国など、不正とみなす勢力と戦ってきた。反帝国主義と反ユダヤ主義が、イランの正統性の試金石である。

 しかし、イデオロギーだけでは生きられない。経済を運営し、地域の要請に応え、時として敵対国と取引もしなければならなかった。神権政治の一部は、イスラムの厳しい戒律を調整し、正常な生活を望む国民の願望に応えようとした。

 ラフサンジャニやハタミは新しい方向を打ち出し、革命の使命と選挙民の具体的な懸念をバランスさせようとした。しかし、この難題を解決できなかった。

 ロウハニ新大統領は、このバランスを取るという最も困難な任務に取り組む新たな政治家である。不幸なことに、彼の政策は政権のイデオロギーによって制約される。イラン経済の混乱と国民の不満の鬱積のため、ハメネイはロウハニに対して、核危機を緩和するためにある程度の裁量を与えるかもしれないが、ハメネイはロウハニの政策の大きな障害であり続けるであろう。

 米国政府は、しばしばイデオロギー信奉者に困惑してきた。彼らはコストと利益を慎重に評価することがまずないからである。今のイランは、1980年代のような急進的国家ではないかもしれないが、僧侶の衣をまとった穏健派が指導する国でもない。

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