ベテラン経済記者の眼

2013年9月12日

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 2020年の東京オリンピック・パラリンピック招致決定のニュースに押されてしまった観があるが、最近、一般読者にも分かりやすいスクープ合戦が注目された。NTTドコモが米アップルのiPhoneを販売するというニュースが、いずれも9月6日の日本経済新聞と朝日新聞の朝刊一面に掲載された。

 見出しはいずれも「ドコモiPhoneを発売へ」。ドコモが人気機種であるiPhoneを発売するのかしないのか、ユーザーの関心は非常に高かった。これまでドコモ側も「検討はしている」という姿勢を示してきただけに、最終的な決断がどうなるか注目されていた。このため日経と朝日が1面トップで報道したことは大きな意味がある。NHKも6日早朝から同様の報道を展開していた。他の新聞は「抜かれた」形になったわけだが、ドコモの決断がどうなるかをつかもうと、5日の夜までドコモの幹部宅では夜討ち朝駆けの動きが続いていたという。

ネット上での噂、ツイッターなどもフォロー?

 今回はアップルが新製品の発表を行う現地時間10日のタイミングをみながらの取材でもあった。その中で日経と朝日が一歩先んじることができた意味を考えてみると、独自の取材努力であることはいうまでもないが、書けるに足る情報源があったのだろう。それはドコモかもしれないし、アップルかもしれない。真相は不明だが、どこかで確証を得たはずだ。12日の日経朝刊の解説の中で、ドコモとアップルの交渉が山場を迎えた6月に、情報漏れを防ぐため、通常では考えられないルートを使ってドコモの社長がひそかに米アップル本社に出張したエピソードが紹介されていた。こうした取材の積み重ねが結果に結びついたのだろうか。

 もう一つ考えられるのは、あくまで筆者の想像だが、ネット上での噂やツイッターなどの情報をきちんとフォローしたためではないかと思う。いろいろ聞いてみると、9月2日ぐらいからドコモの元社員を名乗る人物の情報がツイッターなどで流れ始めていた。各メディアも当然注目していたとは思うが、根拠の薄い噂と無視してしまうか、それなりの情報とみて関係者にあたるか。そうした判断の差も現れたのではないかと想像する。

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