喧嘩の作法

2013年10月11日

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久慈直登 (くじなおと)

日本知的財産協会専務理事

1952年岩手県久慈市生まれ。日本知的財産協会専務理事。本田技研工業株式会社知的財産部長を経て2012年より現職。主要論文としては国連世界知的所有権機構による世界への環境技術普及のための「WIPO Green」として採用された「プロバゲイティング グリーンテクノロジー」など。

 日本企業は研究開発が大好きである。日本の企業人には生真面目な職人のような雰囲気の人が実に多いが、研究開発に携わる人たちのほとんどがそのようにも見える。

 得意な研究開発を続ければ将来も数多くの成果がうまれることになるが、しかしその後の生産となるとグローバルで商売をするには現地でつくる方が何かと都合がよく、結果として日本企業の今後は研究開発が中心にならざるを得ない。そこで大好きな研究開発の成果を使って確実に外貨を稼ぐためにはどうすればいいか。キーは知財というツールをうまく使いこなせるかどうかである。普段からうまく使えてこそ、いざというときの喧嘩にも勝てる。

タイにある日本企業の自動車工場。日本の技術貿易収入の7割以上が海外子会社からのもの(提供:ロイター/アフロ)

 2012年度の日本の技術貿易収入の2兆4000億円のうち、1兆7000億円が親子関係の取引によるものであり全体の70%を超えている。これを見て親子ではなく第三者からの収入を増やすべきというコメントが官庁などからいわれるが、それはミスリードする危険がある。第三者を相手に技術供与するにはしたたかな知財戦略が必要なのである。実務上、海外の自分の子会社ほど信頼できるパートナーはいない。彼らの技術の管理は万全で漏えいの心配はなく、技術料は各国の税制を横目で見ながらかなり自由に設定でき、なによりも将来ライバルにならない。

 これが第三者への技術供与であれば、最初は仲良くしても数年後に実力がつくと独り立ちし、さらに供与した技術思想にもとづいて製造してくる商品は姉妹品のように類似したものになる。類似品であれば多かれ少なかれこちらの市場シェアはくわれる。そのような歴史上の事例は枚挙にいとまがない。特に東アジア諸国の企業は日本も含めて導入後に改良してより良い商品をつくろうとする意欲が非常に高い。

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